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大分トリニータ 始動レポート 創青湧躍 次なる一歩 【大分県】

大分トリニータ 始動レポート 創青湧躍 次なる一歩 【大分県】

 七夕の朝、新たなシーズンが静かに動き始めた。約4週間後にはJ2リーグが開幕する。準備期間は決して長くない。それでも大分トリニータには、百年構想リーグで積み上げてきた確かな土台がある。昨季から10選手がチームを離れ、新たに8選手が加わった32人での船出。クラブが掲げたスローガンは、昨季に続く「創青湧躍(そうせいゆうやく)」。さらに「one step forward(ワンステップフォワード)」の言葉を添え、理想の「湧き上がるサッカー」を一段深いレベルへ押し上げる覚悟を示した。強化費も当初計画を大きく上回る約12%増。クラブの本気度は数字にも表れている。

 昨季は開幕3連勝という鮮やかなスタートを切りながら、その後は失速した。前線から積極的にボールを奪い、攻守一体でゴールへ向かうスタイルは確かな手応えを残した一方で、相手のプレッシングを受けた際の対応や、ボール奪取後の質、試合を通して勢いを持続できない課題も浮き彫りになった。結果だけを見れば成功とは言えないシーズンだったが、クラブは歩みを止めなかった。

新シーズンに向けて始動したトリニータ

 百年構想リーグから引き続き指揮を執る四方田修平監督は、新シーズンを「復活のスタート」と位置付ける。歴史と伝統あるクラブを任される責任を受け止めながら、目標は迷うことなくJ1昇格を掲げた。その実現へ向け、まずは残留ラインを意識しながら勝ち点40を積み重ね、プレーオフ圏内を狙う勝点60へと上積み、現実的な道筋を描く。

 そのために求めるのは、戦術以前の「戦う姿勢」である。初日のミーティングでは、新加入選手も含めた全員に「一つになって戦う」こと、そしてトリニータのプライドを持つことを強く訴えた。チーム全体が主体性を持ち、「チームの勝利のために何ができるか」を考えられる集団を目指す。強烈なリーダー一人に頼るのではなく、全員が自立し、互いに声を掛け合う組織づくりこそ、四方田監督が理想とするチーム像だ。

チーム一丸となって戦うことを要求する四方田監督

 ピッチで追い求めるサッカーも変わらない。「湧き上がるサッカー」の完成度を高めることが今季最大のテーマである。ボールを奪った瞬間の判断、相手の即時奪回を外す技術、前線で起点をつくる質を向上させ、攻守の切り替えをさらに鋭くする。同時にJ2クラブとの戦いに耐え得る守備強度も求められる。新加入選手を短期間で融合させながら、昨季築いた土台の上に積み上げていく考えだ。

 編成面でもクラブの意思は明確だった。吉岡宗重スポーツダイレクターは、「湧き上がるサッカーは変えない」と断言する。補強で最も重視したのは、そのスタイルに適応し、前へ進む意識を持つ選手かどうかだった。過去2年半の成績を踏まえ、現状維持では未来は開けないという危機感があった。スタイルに合わず出場機会を失うよりも、それぞれが輝ける環境へ送り出す決断も、その理念に基づくものだった。

 また、今季特有のシーズン移行も編成には大きく影響する。第1ウインドー(登録期間)は9月中旬まで開いており、J1や海外移籍の動き次第で市場は大きく変化する可能性がある。クラブはシーズン中の補強も視野に入れ、常に最善の選択ができる準備を進める。一方で、理想は今集まった32人だけで最後まで戦い抜けるチームを築くこと。その思いは揺るがない。

 クラブが目指すのは、勝利とともに「これが大分トリニータのサッカーだ」と胸を張って言えるスタイルを確立することだ。昨季の挑戦は、未完成ながら確かな方向性を示した。その続きを描く今季は、「もう一歩前へ」。七夕に始まった新たな物語は、復活への第一歩として大きな期待を背負いながら幕を開けた。 (柚野真也)

大会結果