大分トリニータ 始動レポート 創青湧躍 次なる一歩 【大分県】
サッカー
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大分トリニータは日本経済大との今季初の練習試合(30分×3本)に臨み、5―2で勝利した。3本目に出場した有馬幸太郎、幸先よくネットを揺らしたが、試合後に口をついて出たのは反省の言葉だった。「3点、4点くらい取れる自信があったので、駄目だった」。冗談めかして笑ったが、その言葉には今季に懸ける思いがにじんでいた。前線でボールを収めるポストプレーと、最終ラインの背後を突く動きを併せ持つ万能型FW。昨季の百年構想リーグは右半月板損傷からの復帰直後で、思うようにコンディションが上がらなかった。本来の力を出し切れないままシーズンを終えた悔しさがある。
だからこそ、新シーズンの第一目標は明確だ。「まずはケガをしないこと。そこを一番に考えて、開幕までコンディションを上げていきたい」。炎天下で行われた今季最初の実戦では、開始から前線の守備に勢いを与えた。チームが掲げたのは、前から積極的にプレッシャーをかけ、奪ったボールを素早く攻撃につなげる形である。最初の15分ほどは狙い通りの場面をつくったが、次第に運動量が落ち、守備の圧力も弱まった。

有馬は自らの役割を、単に得点を奪うことだけだとは考えていない。「自分の勢いや迫力がチーム全体のプレスの強度につながると思う。自分のところで奪えなくても、追い込むことで味方が奪える。チームのために泥臭くやりたい」。前線からボールを追うことで、守備の位置を高く保つ。そこで奪えれば、ゴールまでの距離は短くなる。昨季は相手に押し込まれ、低い位置でボールを奪っても、再び奪い返される試合が少なくなかった。その展開では守備に体力を使い、肝心の攻撃に力を残せない。
「一番大事なのは守備の高さだと思う」。ストライカーの言葉としては、一見すると意外かもしれない。しかし、どこで守り、どこで奪うかはFWがゴール前で力を発揮するための生命線でもある。有馬は得点の手前にある仕事まで引き受けようとしている。
新シーズンを迎える有馬には、もう一つ大きな変化があった。短いオフの間に第一子が誕生したのだ。旅行や遊びに出掛けることはなく、生活の中心は生まれたばかりの子どもだった。「かわいくて仕方ない」。出産にも立ち会い、妻への感謝は一層強くなったという。夜泣きで寝不足になることもあったが、その表情は穏やかだ。どんな父親になりたいかと問われると、「まだ分からない」と照れ笑いを浮かべた。それでも、いつか子どもを抱いて試合前の入場を歩く姿を思い描いている。

守るべき存在が増えたからといって、ピッチ上で特別な何かを演じるわけではない。練習後はアイスバスに入り、体重を落とさないように食事と水分を取り、しっかり眠る。地道な準備を重ねる姿勢は変わらない。「開幕はあっという間に来る。コンディションも、コミュニケーションも、技術も戦術も、全部上げていかないといけない。一日一日を大切にしたい」
完全復活を目指すストライカーは、ゴールだけを追っているのではない。誰よりも前から走り、味方のために体を張り、その先で自らが仕留める。新米パパとなった有馬が取り戻そうとしているのは、エースの座だけではない。チームを勝たせるFWとしての存在感なのだ。 (柚野真也)
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