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グッドルーザー 野球 明豊 途切れた連覇 受け継ぐ覚悟 【大分県】

グッドルーザー 野球 明豊 途切れた連覇 受け継ぐ覚悟 【大分県】

第108回全国高校野球選手権大分大会
7月23日 別大興産スタジアム
準決勝

明豊  100 100 001 |3

大分商 010 000 111X|4

 勝者がいれば、必ず敗者がいる。だが、涙の数だけ強くなれるのもまた真実だ。悔しさを胸に後輩へ、次の自分へとバトンを渡す。勝利だけでは語れない青春が、そこにある。敗者という名の強者たち。“グッドルーザー”の言葉に耳を傾ける。

 最後の打球が内野に転がり、明豊の夏は幕を閉じた。九回2死から執念で追い付きながら、その裏にサヨナラ負け。あと一歩で届かなかった甲子園。6連覇という偉業も、この日で途切れた。

 だが、敗れたからといって、このチームが積み重ねてきた価値まで失われたわけではない。川崎絢平監督は試合後、「うちが勝つならこの展開だと思っていた」と静かに振り返った。狙いは明確だった。先制して主導権を握り、大分商業のエース・平田玲翔(3年)を早い回にマウンドへ引きずり出すこと。継投策も想定し、打順が3巡目で平田を攻略する展開まで描いていた。実際、そのシナリオはほぼ現実となる。九回2死には宮元弾(はずむ、2年)が3巡目の対戦で同点打を放ち、試合は土壇場までもつれ込んだ。

準決勝で敗退した明豊

 「選手たちは思い描いた通りの試合をしてくれた」。川崎監督は敗戦にもかかわらず、選手たちの戦いぶりを誇った。ただ、それでも届かなかった。「最後は運も含めて大分商業さんが上回った」。勝負の非情さを、その一言に凝縮した。

 春に対戦した平田とは別人だったという。左打者の外へ逃げる落ちる球の精度が格段に上がり、「何打席か立たないとイメージできない球だった」と振り返る。それでも最後まで食らい付き、九回2死から追い付いた。「誰一人下を向いていなかった」。その姿勢こそ、このチームの強さだった。宮元の同点打についても、川崎監督は「(部員)90人全員で打った一本」と表現した。スタンドで声を枯らした部員、ベンチで支え続けた仲間。その全員の思いが乗った一打だったという。

 主将の坂田庵(3年)は敗戦の責任をすべて自らに背負った。「チームを勝たせることができなかった責任は自分にある」。6連覇や夏28連勝という周囲の期待については、「優勝した結果が6連覇になるだけ」と語り、記録を意識することはなかったという。それでも試合後、口を突いたのは応援してくれた人への謝罪だった。「優勝という形で恩返しができなかった。本当に申し訳ない」。悔しさより先に感謝を口にする姿が、この代の主将らしさでもあった。

 昨夏の甲子園を知る藤翔琉(とう・かける、3年)も、自らを責めた一人だ。「初回やチャンスで一本が出ていれば勝てたかもしれない」。平田対策として速球を徹底的に準備してきたが、春とは違う投球に苦しめられた。それでも九回に追い付いた瞬間は「まだいける」と勝利を信じたという。もし延長戦にもつれ込めば勝機はあったとも感じていた。

泣き崩れる藤に労いの言葉をかける川崎監督

 最高学年となった今季は、昨年までとは違う重圧もあった。「昨年から試合に出ている選手だから打たなければいけない」。そんな期待を背負いながら戦い抜いた。それでも藤は前を向く。「自分たちの代で連覇を止めてしまった。でも後輩たちには、ここから新しい連覇を築いてほしい」

 川崎監督は3年生へ「結果を形にしてあげられなかったことは申し訳ない」と語りながらも、「胸を張って前へ進める3年間だった」と送り出した。メンバーに入れなかった選手も含め、90人全員が最後までチームを支え続けた。その積み重ねは、勝敗だけでは測れない価値を残した。

 連覇は止まった。しかし、明豊が築き上げてきた「勝者の基準」まで消えたわけではない。この敗戦は終わりではなく、新たな歴史の始まりである。そのバトンは悔し涙を流した先輩たちから、後輩へ確かに受け継がれた。 (柚野真也)