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大分トリニータ 開幕前チームレポート 主体性が生む進化の形 【大分県】

大分トリニータ 開幕前チームレポート 主体性が生む進化の形 【大分県】

 開幕まで1週間となり、大分トリニータにこれまでとは異なる空気が漂っている。宮崎での強化キャンプを終えたチームには、昨季まで以上にたくましさが備わった。

 その象徴が今夏の補強である。7月29日には育成型期限付き移籍で195センチの大型FWが加入した。7月7日の新体制発表時に加わったDF井上聖也(187センチ)、MF西村恭史(185センチ)、FW古川大悟(180センチ)を筆頭に、今季の補強はサイズと身体能力を備えた選手が目立つ。単なる「高さ」を求めたわけではない。球際で競り勝ち、前進し、ゴール前で違いを生み出せるフィジカル集団へ――。クラブが目指すサッカーの進化を象徴する補強と言える。

 宮崎キャンプでは、その新たなチーム像を形にする作業が進められた。四方田修平監督は「最初の2日間はトレーニングを積み、その後はJクラブとの練習試合を2試合行った。大学やJFLとの試合とは違い、できている部分も甘さも確認できた。開幕前に課題が見えたことは修正につながる」と振り返る。

「キャンプで課題と収穫を得た」と語った四方田監督

 結果以上に収穫だったのは、チームの土台が確実に固まり始めたことだ。新加入選手はポジションごとの役割を理解し、メンバーもある程度固定されたことで選手同士のコミュニケーションはより具体的になった。互いの特徴を理解しながらプレーできる時間が増え、連係にも少しずつ厚みが生まれている。

 もっとも四方田監督は満足していない。最大の課題として挙げたのはゴール前の質だ。「最後の突破、点を取り切るところはまだ課題。裏への狙いやボールを持った時の打開力は、もっと意識を高く持たなければいけない」。精度や技術は一朝一夕には伸びない。しかし、ゴールへ向かう姿勢は変えられる。その意識改革こそ今キャンプで最も強く求めた部分だった。

 特に重視したのが、守備から攻撃への切り替えだ。ボールを奪った瞬間こそ相手守備が最も乱れる時間帯。その一瞬を逃さず、一気にゴールへ向かう。攻撃は攻撃だけで完結するものではなく、守備と一体になって初めて威力を発揮するという考え方がチーム全体に浸透しつつある。

 守備面でも手応えはある。始動から2週間は「前から奪う」ことを徹底し、その過程で生じた背後のスペースや立ち位置のズレをキャンプで修正した。「積極的にボールを奪う姿勢は良かった。その穴を埋める作業ができた」と四方田監督は語る。

開幕に向けて戦術の深度を高める

 もちろん理想だけでは勝てない。酷暑の中で90分間ハイプレスを続けるのは現実的ではなく、「前から行くか、行かないかの使い分けが重要になる」(四方田監督)と状況判断の重要性も強調した。攻める勇気と引く勇気。そのメリハリこそが今季の守備を支えるキーワードになりそうだ。

 そして、四方田監督が繰り返した言葉が「主体性」である。「長い時間(のプレー)になると緩さが出る。攻めるにしても守るにしても主体的でなければ受け身になる。集中力が切れるので運動量や切り替えの速さといった基本で上回らなければいけない」。さらに「後ろから声を掛けられて動くようでは遅い。無意識に反応できるレベルまで狙いどころを共有したい」と続けた。選手一人一人が考え、判断し自然と同じ絵を描ける集団。それが四方田監督の理想像である。

 戦術と自由は対立するものではない。「細かい枝葉にこだわれば幹が見えなくなる。大事なのはブレないこと」。その言葉どおり、キャンプでは細部よりもチームとしての軸づくりに時間を費やしてきた。

 開幕戦は決して派手な試合にはならないかもしれない。四方田監督も「どの試合もギリギリの勝負になる。覚悟を決めて戦うしかない」と見据える。それでも宮崎で積み重ねた時間は決して小さくない。高さという新たな武器、攻守一体の切り替え、そして主体性を備えた組織力。その三つがかみ合った時、新しいトリニータは確かな推進力を手にするはずだ。8月8日、いよいよその答えがピッチで示される。 (柚野真也)


大会結果