冬の主役たち 弓道男子 切磋琢磨するライバルの挑戦(宇佐) 【大分県】
弓道
全国大会冬の陣⑨ 弓道女子 津久見 全国選抜初出場、感謝の気持ちを射に込める
予選突破の3カ条
・明るい雰囲気を作る
・技術は部活で、メンタルは部活外で鍛える
・感謝を射で表す
11月の全国高校選抜弓道大会県予選を兼ねた第33回県選手権で女子は津久見が優勝し、初の全国選抜出場を決めた。
例年であれば3年生が引退し、新チームになると部員が減り、団体戦を組むこともままならなかった部の躍進を支えたのは7人の2年生だった。入部当初、弓道場に並ぶ男子の賞状やトロフィーを目にし、「私たちが卒業するまでに女子も結果を出し、先輩たちに見せよう」と決意。持ち前の明るさとチームワークを武器に、コロナ禍という逆境をはねのけ、見事に夢を叶えた。
時枝徹治監督は「実力的にはまだまだだが、ゾーン(自分の世界)に入るのがうまい選手が多い」と評す。それは、周りに左右されず、追い詰められた場面でも実力を発揮できるということ。県予選でもほとんどの試合を1本差で勝ち切る勝負強さを見せた。特に個人戦でも2位に入賞した「落ち」の中野陽菜(2年)は、緊迫した場面で何度も“勝負を決める1本”を的中させ、勝利の立役者になった。
練習から集中力を高めて弓を射る
津久見の強さを支えているのは明るさとチームワーク。練習中も笑顔が絶えず、キャプテンの神品幸音(2年)を中心に、和気あいあいと教え合う姿が印象的だ。失敗にとらわれることなく、次はどうすればいいのかを前向きに考える。ライバルは昨日の自分、1本射る前の自分であり、周りの雑音に心乱されることなく、真っすぐに己と向き合う。そんな明るい部の雰囲気、前向きな姿勢を試合会場にそのまま持っていく。県予選でも心掛けて、優勝の原動力となった。
「技術は部活で、メンタルは部活外で」。これは常日頃、時枝監督が選手たちに言い聞かせている言葉。弓道は精神状態が大きく影響する競技。全国選抜大会では、新型コロナウイルスの影響で会場での直前練習ができない。ぶっつけ本番とも言える状況の中で安定した矢を射るためにはメンタルの強化が必須となる。部活動以外の生活態度をしっかり律することがメンタル強化につながると話す。
全国選抜に出場するのは4人だけだが、部員全員の気持ちを一つにして初の全国で予選突破を目指す。県予選の優勝トロフィーには出場選手の名前をあえて記載しなかったという。「出場した選手だけでなく、全員で勝ち取った」という思いが強かったからだ。コロナ禍で会場に入ることができなかった部員や、試合が終わった後も残って女子部に声援を送ってくれた男子部員、公私ともに支えてくれた保護者への感謝は尽きない。「引く矢は自分の矢ではなく、津久見高校の矢。だから外していい矢は一本もない」(時枝監督)。全国選抜には、出場できない選手の矢も持っていく予定。支えてくれた多くの人への感謝の気持ちを射に込め、躍進を誓う。
気持ちを一つにして予選突破を目指す
(甲斐理恵)
全国大会冬の陣
⑤ラグビー 大分東明 スピードを生かした展開ラグビーでベスト8を狙う
⑥サッカー男子 日本文理大学付属 愚直に謙虚に取り組み、まずは初戦突破を目指す
⑩バレー男子 大分南 2枚エースにプラスアルファで勝利を目指す