中津南高校サッカー部 橋本 颯士(3年) file.946
サッカー
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秋春制へ移行したJFLでヴェルスパ大分が開幕2連勝を飾り、首位に立った。悲願のJ3昇格、そしてJFL優勝へ。今年1月に田中博監督を迎えて始まった新体制は、最高のスタートを切った。
その象徴となったのがホーム初戦のいわてグルージャ盛岡戦だった。前半に先制を許す展開となった。自分たちでボールを動かしながらも、好機を仕留め切れず、逆にミスから流れを手放した。これまでなら、そのまま重苦しい時間が続いても不思議ではない。
だが、今年のヴェルスパはそこで崩れなかった。田中監督がハーフタイムに伝えたのは「決して悪くない」という言葉だった。ただ励ますだけではない。ボランチの立ち位置を内側へ修正し、相手が「どこを狙っているのか」を見るよう求めた。

わずかな立ち位置の変化が、試合を大きく動かした。後半はボールが滑らかにつながり、相手の守備にズレが生まれる。前を向いて攻める回数が増え、そこから一気に3得点。3―1の逆転勝利につなげた。田中監督は「チームとしてできるのは、得点につながる場面の回数を増やすこと」と語る。最後にゴールを決めるのは個人の力だが、その勝負を何度もつくり出すのがチームの仕事だという。
今季のヴェルスパを読み解く上で、この言葉は興味深い。田中監督が目指すのは、ただボールを保持するサッカーではない。ボールを大事にしながら相手を動かし、どこに隙が生まれるかを見極める。その上で最後は選手の個性に託す。
その「個」の象徴が、いわて戦で2得点を挙げた利根瑠偉だった。1点目はDFのクリアボールをブロックし、味方がこぼれ球を拾った瞬間、迷わずゴール前へ入った。「あとは流し込むだけだった」。2点目もこぼれ球に反応した。派手ではない。しかし決定機にそこにいる。田中監督は利根を「ゴールの匂いを嗅げる選手」と表現する。

興味深いのは、利根自身がかつてとは違う選手になっていることだ。4年前にヴェルスパでプレーしていた頃は「どこでもドリブルしていた」と笑う。今は簡単にできるところはシンプルにプレーし、勝負どころで武器を出す。「ここぞという時に力を出せればいい」。経験を重ねたからこその“引き算”である。
開幕2連勝にも浮かれる様子はない。利根は「2試合とも課題のあるゲームだった」と振り返り、田中監督もさらなる成長を求める。目指すのはJFL優勝と悲願のJ3昇格。好スタートを勢いだけで終わらせず、勝利を積み重ねられるか。今季こそ、その悲願を現実に変えるシーズンにしたい。 (柚野真也)
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