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大分トリニータ 「湧き上がる」はどこへ 5度の無得点が突きつける現実 【大分県】

大分トリニータ 「湧き上がる」はどこへ 5度の無得点が突きつける現実 【大分県】

 試合終了の笛が鳴ると、大分トリニータの選手たちには悔しさがにじんだ。ルヴァンカップ1次ラウンド1回戦、ロアッソ熊本との九州ダービーは0―2。公式戦3連敗となった。開幕から6試合。試行錯誤を重ねながら前進を目指しているが、攻撃にはまだ解き切れていない課題が残る。とりわけ5試合で無得点という数字は、ゴールまでの道筋をつくる難しさを端的に物語っている。

 入りは悪くなかった。ボールを握り、相手陣内へ運び、山崎太新の積極的な仕掛けからゴールへ迫った。だが、そこで止まる。四方田修平監督が「最後の精度、厳しさが足りなかった」と振り返ったように、優勢な時間帯を得点に変えられないまま前半38分に先制を許した。

 これで公式戦6試合のうち5試合が無得点。もはや「決定力不足」の一言では片付けられない。四方田監督は「チャンスの数は増えている」と話す一方、「クロスに対して中と外のタイミングが合っていない。ゴール前に飛び込む枚数も足りない」と課題を挙げる。ボールをゴール前まで運ぶことはできても、最後に誰が、どこへ、どのタイミングで入るのか。その共通理解がまだ薄いのだ。

悔しさをにじませ会場を後にする選手たち

 後半は2トップへ変更し、前から圧力を強めた。しかし、攻め急いだところで自陣のパスを失い、速攻から2失点目。点を取るためにリスクを負うことと、無闇に前掛かりになることは違う。攻撃の迫力を求めれば求めるほど、ボールを失った瞬間の準備まで問われる。攻守一体を掲げるチームにとって、そこは避けて通れない。

 苦しい90分の中で、小さな光を放ったのがプロ1年目の山崎だった。前向きにボールを受ければ迷わず仕掛ける。「自分のストロングである『仕掛け』は、どの相手にも通用すると思っている」。その言葉通り、停滞する攻撃に変化をつくった。

 ただ、本人は手応えだけで終わらせない。「仕掛けるだけで終わるのではなく、その先で得点につながるプレーをしたい」。クロスが味方と合わず、自らのシュートも決め切れなかった。だから求めるのは「最後の質」である。中盤のサイドに位置するウイングバックというゴールから遠い位置であっても、「最後は自分がゴールを取るところまで求めたい」と言い切る姿勢は、今の大分に必要な欲でもある。

攻撃の意欲を示した山崎

 天皇杯、ルヴァンカップとリーグ戦とは異なるメンバーを試せたことは収穫だ。若手に公式戦の経験を与え、山崎のように新たな競争を生みそうな存在も見えた。一方、結果は2つのカップ戦とも敗退。経験を積んだだけでは「収穫」とは呼べない。そこで得たものをリーグ戦の勝点へ変えて初めて意味を持つ。

 6試合で1試合しかゴールネットを揺らしていない現実は重い。必要なのは、きれいな攻撃を完成させることではない。クロスへ一歩でも早く飛び込む。こぼれ球へもう一人が入る。奪った瞬間に前へ走る。山崎が見せたように、まず目の前の相手へ仕掛ける。そんな一つ一つの「前へ」の積み重ねこそ、「湧き上がる」という言葉をピッチ上の現実へ変えるはずだ。

 山崎は「練習から目の色を変えて結果にこだわる」と言った。今、その言葉が必要なのは若きルーキーだけではない。3連敗、そして5度の無得点。大分は早くも、自分たちの掲げたサッカーの真価を問われている。 (柚野真也) 写真提供:大分トリニータ


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