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県高校総体前特集 バレーボール男子(2) 大分工業 迷いの先に変革の兆し 【大分県】

県高校総体前特集 バレーボール男子(2) 大分工業 迷いの先に変革の兆し 【大分県】

 県高校総体のバレーボールは30日から3日間の熱戦が繰り広げられる。男子はこの1年で勢力図が大きく動いた。県内主要大会を制してきた大分南が一歩リードする一方、大分工業、鶴崎工業も確かな成長を示し、王座奪還へ闘志を燃やす。そして躍進著しい竹田も、上位進出を狙う存在へと変貌した。総体シード4校の現在地と、それぞれが描く頂点へのシナリオに迫る。

 常に県内トップクラスの実力校として注目を集めてきた大分工業が、苦しんでいる。県高校新人大会は準決勝敗退。続く全九州バレーボール総合選手権大会県予選(九総予選)では決勝まで進んだものの、大分南にストレート負けを喫した。江崎裕之監督は「全てが足りない。今のままでは絶対に勝てない」と厳しい評価を下す。

 今年のチームは、決して能力が低いわけではない。力強いスパイク、高い打点、安定したトスワーク、粘り強いレシーブ。練習にも熱量があり、向上心も感じられる。それでも、あと一本を取り切れない。相手に流れが傾いた時、自分たちで断ち切れない。そこに、江崎監督は課題を見る。繰り返すのは、「主体性」と「感性」という言葉である。

粘り強いレシーブでリズムを作る大分工業

 「これまでは、無理だと思う場面でも手が出る、足が動く選手がいた。今は、指示を待ってしまう場面が多い。相手ブロックを見て打ち分けるとか、仲間のプレーを感じて動くとか、自分で考えて変化しないといけない」(江崎監督)。ただ与えられた役割をこなすだけでは、強豪同士の競り合いには勝てない。苦しい場面で一歩を踏み出せるか。そこに、大分工業復活へのカギがある。

 チームを引っ張るのはキャプテンの今村望夢(3年)。県内屈指のパワーヒッターで、試合では得点源として大きな存在感を放つ。真面目で責任感も強く、周囲からの信頼も厚い。しかし江崎監督は、「エースになってほしい素材ではあるが、まだエースではない」と言う。

パワーヒッターの今村

 理由は明確だ。強打だけでは、全国レベルでは止められる。苦しい場面でフェイントを選ぶのか、ブロックアウトを狙うのか。相手の状況を読み、“絶対に一点を取る”執念と技術が求められている。今村自身も、その課題から目を背けていない。「九総予選は完敗だった。大事な場面で一本を決め切る力が必要。セッターの状態が悪い時でも、自分がカバーできる選手にならないといけない。もっと自分で考えてプレーしないと」。その言葉には、キャプテンとしての責任感と、未完成のエースとしての葛藤がにじむ。

 「主体性」や「感性」は、すぐに目に見える形で現れるものではない。練習ではできていても試合では出せないこともあれば、逆に試合だからこそ本領を発揮する選手もいる。だからこそ、これからの成長次第でチームは大きく変わる可能性を秘めている。攻撃面で存在感を増している井野本勇斗(2年)、バレーセンスに恵まれたオールラウンダーの徳永陽(はる、1年)など、成長が期待される選手も少なくない。

 一人ひとりが自らの弱さと向き合い、考え、動き始めた時、チームは変わる。攻守が連動し、自分たちから流れをつかみにいくバレーが形になった時、大分工業は再び県内の頂点争いに戻ってくるはずだ。


(甲斐理恵)

大会結果