県高校総体前特集 バスケットボール女子(1)大分 3年ぶりの頂点へ 全員で戦う「大分スタイル」の戦略 【大分県】
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県高校総体の開幕が、いよいよ目前に迫ってきた。前哨戦となる南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)県予選を制したのは大分。1月の県高校新人大会王者・明豊とともに、優勝争いの軸は固まりつつある。だが、その構図は決して盤石ではない。頂点を見据えるライバルたちも力を伸ばしている。
本特集では、県総体を目前に控えた実力校の現在地に迫る。勢力図は固まりつつあるのか、それとも覆るのか。大分の頂点を巡る戦いは、すでに始まっている。第2回は県内無敗が途切れた明豊。敗戦の先に見えた課題と再建への道筋に迫る。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 6(7)
ディフェンス 7(8)
リバウンド 8(8)
シュート 7(7)
スタミナ 7(7)
高さ 8(8)
県内無敗が途切れた。南九州四県対抗バスケットボール選手権(南九対抗)県予選の女子決勝。大分に64―70で敗れた試合後、杉山真裕実監督は「負けるべくして負けた」と言い切った。その言葉は感情的に責めているのではなく、県高校総体へ向けた現在地の確認であり、再建への出発点でもあった。

今大会で露呈したのは、劣勢でこそ問われる「つながり」の希薄さである。2年生エースの繁松椿に負担が集中しても、周囲がそれを支えきれない。誰かが苦しんでいるときに、全員で踏みとどまる空気がまだ弱い。杉山監督が「チームになっていない」と語ったのは、その本質を突いている。個々の能力はあっても、試合を左右するのは最後に結束である。接戦で明暗を分けたのは、まさにその差だった。
一方で、収穫がなかったわけではない。センター成松沙菜(3年)には確かな成長の兆しが見えた。高さを生かして相手ディフェンスの裏を突く形は、準決勝までは機能していた。
課題もはっきりしている。成松を起点とした攻撃の狙いは共有できているものの、選手たちの中で「とにかくパスを入れること」が目的になってしまっている。その先の展開まで考えられていないのだ。スペースがない場面で無理にボールを入れれば、ミスが増えるのは当然である。狙いを正しく理解し、状況に応じてプレーを変える柔軟さ。その応用力が、今の明豊には求められている。

守備の再構築も急務だ。明豊の土台は本来、圧力をかけるディフェンスにある。しかし今大会は個々の波が大きく、やるべきことを整理しても実行しきれなかった。杉山監督が「結局はメンタル」と繰り返したのは、戦術以前に覚悟と自信の問題が横たわっているからだろう。ポイントガード2人を同時起用した布陣も、お互いに頼り合ってしまい機能しなかった。現状を曖昧にせず、はっきりと「ダメだった」と認める杉山監督の言葉に、立て直しへの本気度がにじむ。
だからこそ、この敗戦には意味がある。県高校総体までに必要なのは勝ち方を思い出すことではない。戦う理由を、もう一度自分たちの中につくり直すことである。杉山監督は「もう一度、ゼロから」と語った。上級生に託すだけでなく、1年生の台頭も視野に入れる。競争を生み、役割を問い直し、明豊らしい守備から試合を支配する姿を取り戻す。その作業は容易ではない。だが、核がないと言われる今だからこそ、全員で核をつくる余地がある。南九対抗県予選の敗戦は県高校総体へ向かう明豊にとって、チームの真価を問う最初の痛みだった。
(柚野真也)
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