県高校総体前特集 バスケットボール男子(3)大分上野丘 積み上げた力で次の扉を開く 【大分県】
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県高校総体の開幕が目前に迫り、県内バスケットボール界の熱気は一気に高まっている。前哨戦となる南九州四県対抗選手権(南九対抗)県予選を制したのは柳ケ浦。本戦でも3戦全勝で頂点に立ち、県内では一歩抜け出した存在であることを示した。だが、その背中を追う勢力も確実に力を伸ばしている。3年ぶりの復権を目指す別府溝部学園、着実に地力を高める大分上野丘など、公立勢の台頭も見逃せない。本特集では、県総体直前の実力校5チームに焦点を当て、それぞれの現在地と可能性を掘り下げる。第4回は久々の4強入りで手応えをつかんだ日田。再構築の先にある次の挑戦が始まる。
【チームパラメーター】( )は昨年の数値
オフェンス 7(5)
ディフェンス 6(6)
リバウンド 6(6)
シュート 7(6)
スタミナ 7(6)
高さ 6(5)
南九対抗県予選で本線の出場権こそ逃したが、準々決勝でシード校・大分舞鶴を69ー64で撃破し、久々のベスト4に食い込んだ日田。この勝利は単なる結果以上の意味を持つ。安元正彦監督が言うように、「全部を出し切った」一戦の中で、チームは次へ進むための確かな手応えをつかんだ。
試合を動かしたのは、後半に仕掛けたハーフコートプレスだった。最大で二桁点差を追う展開の中、あえてリスクを取って流れを引き寄せる。相手のタイムアウトで一度引き、再び勝負どころで仕掛ける。その緩急が接戦をものにする決定打となった。「うちの戦術が機能すればゲームは作れる」。安元監督の確信が選手の不安を消し去った瞬間でもあった。

今のチームを形づくるのは、3年生4人の存在である。中でも浅川誠真と高倉海は、攻撃の核を担う存在だ。ただし、かつてのような依存の構図はない。1日1試合で力を使い切っていた過去を乗り越え、役割の共有と得点の分散が進んだ。安元監督は「試合を通して戦えるようになってきた」と語る。オフェンス7、スタミナ7と数値が伸びた背景には、この構造変化がある。
もっとも、その過程は平坦ではなかった。司令塔の浅川が南九対抗県予選前に鼻を骨折し、本調子ではなかった。代役として高倉がガードに回る非常事態となった。しかし、この想定外がチームに新たな選択肢をもたらす。得点力に優れる高倉がボールを預かることで、攻撃の幅はむしろ広がった。終盤の勝負どころで決め切った大分舞鶴戦のプレーは、高倉にとっても転機となる一撃だったはずだ。

浅川の完全復活は、さらなる上積みを予感させる。周囲を生かしながら自らも得点できるガードは、チームのリズムそのものを変える存在だ。3点シュートの精度が戻れば、攻撃は一段と立体感を増すだろう。
目指すべき姿は明確である。安元監督が繰り返すのは「ディフェンスから」の徹底だ。守って走る、守備から速攻へとつなぐ形を磨き上げること。それが上位進出の条件であり、県高校総体の決勝リーグを戦い抜くための基準でもある。ベスト4という結果は、挑戦を受ける立場へと変わる可能性も意味するが、安元監督の視線はあくまで前にある。「まだ挑戦者」という言葉に慢心はない。
古豪復活と呼ぶには、まだ早いのかもしれない。それでも個の力を「分散」へと転換し、組織として戦う形は確実に整いつつある。手応えと課題、その両方を手にした今の日田は、最も伸びしろのある4強と言っていい。県高校総体、その舞台で試されるのは再構築の成果であり、次の一歩を踏み出す覚悟である。
(柚野真也)
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