OITA SPORTS

5/17 SUN 2026

supported by

明日香国際ブライダル&ホテル観光専門学校

バレー バレー

NEW!

県高校総体前特集 バレーボール女子(3)国東 未完成だから面白くなる 【大分県】

県高校総体前特集 バレーボール女子(3)国東 未完成だから面白くなる 【大分県】

 県高校総体の開幕が間近に迫っている。前哨戦の全九州バレーボール総合選手権(九州総合)県予選は東九州龍谷が制し、その強さは依然として盤石だ。だが、大分商業が充実の戦力で王座奪取に挑む。さらに国東、臼杵も上位進出を狙い、勢力図に揺らぎをもたらすか。頂点を巡る戦いは、すでに始まっている。

 「こんなもんだね」。九州総合県予選を終えた辻郁徳監督の第一声は、どこか達観したようでいて、現実を冷静に受け止める響きがあった。国東は3位で本戦出場を決めた。だが、東九州龍谷、大分商業という県内2強との差は、まだ小さくない。それでも、チームは確かに前へ進んでいる。

 準々決勝の別府翔青戦では苦しみながらも勝利をつかんだ。相手の強いサーブに押し込まれ、流れを失いかけた場面もあった。辻監督は「押され気味になると弱さが出る」と率直に課題を口にする。一方で、試合中に選手たちへ伝えていたのは「慌てるな」というメッセージだった。

 「強ければ勝てるし、弱ければ負ける。それだけ」。飾らない言葉の裏には、勝負を真正面から受け止める覚悟がある。今の立ち位置を冷静に認めながら、その上でどう前へ進むか。チームの現状は、その言葉によく表れている。

 県高校新人大会以降、チームは攻守両面で積み上げを重ねてきた。トレーニング内容も見直し、試合の中での判断力や連係にも磨きをかけている。辻監督は「持っている力はあると思っている」と語る。現在の軸はキャプテン福永美海(3年)と黒木春奈(同)だ。

打点の高いスパイクを放つ黒木

 福永は攻守においてチームを支える存在だ。守備範囲の広さだけではなく、苦しい時間帯でも周囲へ声を掛け、空気を整える役割を担う。辻監督が「もっと周りを見る力を期待している」と話すように、プレーだけでなくチームを動かす力が求められている。黒木はエース候補の1人。ジャンプ力が増し、打点も年々高くなっている。まだ粗削りな部分は残るが、勢いに乗った時の破壊力は大きい。辻監督も「上がったボールをガンガン打ってくれればいい」と期待を寄せる。試合になると表情が変わり、自然と周囲への声掛けも増える。感情をプレーエネルギーへ変換できるタイプであり、ゾーンに入った時の爆発力は、このチーム最大の魅力と言える。

 ただ、辻監督の視線は次の世代にも向いている。「面白い選手が多いんだよ」。そう語る表情には確かな期待感がにじむ。新1年生では池永莉乃、川野心、礒崎天子の3人に大きな可能性を感じている。左利きの池永はライトから思い切りの良い攻撃を繰り出す。すでに九州総合県予選でも得点を奪っており、将来性は十分だ。川野は身体能力の高さが光る。跳んでからシャープに打ち抜くスパイクは魅力的で、本来はアウトサイドヒッタータイプだが、現段階ではミドルブロッカーの起用も視野に入れる。どこでもこなせる器用さも持ち合わせている。礒崎はパンチ力が武器。まだ粗さはあるものの、レフトから強打を打ち込める素材であり、今後の成長次第ではチームの攻撃を変える存在になり得る。

1年生を加え戦力アップを図る国東

 「この3人を絡ませるようなチームをつくりたい」。辻監督はそう語った。現有戦力だけで戦うのではない。新しい力を加えながらチームそのものを大きくしようとしている。県高校総体へ向けた目標は「まず3位」。決して大きな言葉ではない。だが、その現実的な目線こそが国東らしい。東九州龍谷、大分商業という絶対的な存在がいるからこそ、そこへどう近づいていくかが重要になる。

「今はこんなもん」(辻監督)。その言葉は決して諦めではない。現状を受け止めた上で、「次はもっと面白くなる」と未来を見据える名伯楽の宣言である。県総体、その先の春の高校バレー県予選へ向けて、このチームは少しずつ輪郭を大きくしている。


(柚野真也)

大会結果