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県高校総体前特集 バレーボール女子(2)大分商業 充実の戦力で壁を越えろ 【大分県】

県高校総体前特集 バレーボール女子(2)大分商業 充実の戦力で壁を越えろ 【大分県】

 県高校総体の開幕が間近に迫っている。前哨戦の全九州総合県予選は東九州龍谷が制し、その強さは依然として盤石だ。だが、大分商業が充実の戦力で王座奪取に挑む。さらに国東、臼杵も上位進出を狙い、勢力図に揺らぎをもたらすか。頂点を巡る戦いは、すでに始まっている。

 打倒・東九州龍谷。その最短距離にいる存在として名が挙がるのが大分商業だ。幾度となく跳ね返されてきた高く、厚い壁。しかし今年の大分商業は、これまでとは明らかにチームの成熟度が違う。1年時から主力として戦ってきた世代が最終学年を迎え、経験値と戦力がかつてない水準で融合しているからだ。

 中心にいるのは、全日本ジュニアオールスタードリームマッチに出場した安藤美空(3年)。全国のトップ選手と競い合った経験は、技術以上に内面の変化をもたらした。プレーの落ち着き、味方への声かけ、そして自覚。森栄一郎監督も「内面的な成長が見える」と評価する。パワー面でもトレーニングを重ね、攻守における存在感は確実に増している。

全日本ジュニアオールスタードリームマッチに出場したエースの安藤

 一方で、チームのカギを握るのは別の存在だ。左利きのミドルブロッカー帆秋杏(3年)である。柔らかなタッチから繰り出される多彩な攻撃は、相手に的を絞らせない武器となる。「帆秋が目立っているときは強い」。森監督の言葉が示す通り、その出来がチームの浮沈を左右する。調子の波という不確定要素を抱えながらも、はまったときの破壊力は群を抜く。東九州龍谷という絶対的存在に挑むためには、計算だけでは届かない。だからこそ振れ幅を内包したこの選手の爆発が、勝負を引き寄せる可能性を秘めている。

 そこに小田原明日香、キャプテン朝久野咲菜といった3年生が加わる。朝久野は前に出る気質を持ち、チームを鼓舞する役割を担うが、森監督はさらに一歩踏み込んだ変化を求める。「全体的に優しいチーム」。その評価は裏を返せば、勝負どころで殻を破り切れていない現状を意味する。安藤や小田原といった実力者が感情を表に出し、チームを押し上げることができるか。そこに頂点への分岐点がある。

 さらに今季は新戦力の台頭も見逃せない。吉良杏奈、名村紗月の1年生2人はすでに先発で起用され、チームの底上げに直結している。県高校新人大会での負傷者をきっかけに生まれた競争が、結果的に全体のレベルアップを促した形だ。「新入生が入ってきて全体の底上げができた」と森監督。まだ経験値や体力面では発展途上ながら、その伸びしろはチームの未来を押し広げている。

戦力が整い、悲願の頂点を目指す大分商業

 ただし、完成度という点ではまだ道半ばである。ゲーム数、セット数、そして積み重ねの時間。県総体までにどこまで上積みできるかは未知数だ。それでも戦力が整ったという自負がある。東九州龍谷もまた完成形へと近づく中で、両者が最も高い位置でぶつかる可能性がある今大会は、大分商業にとって最大の好機でもある。

 「思い切ってぶつかることが大事」。森監督の言葉には、挑戦者としての覚悟がにじむ。計算を超えた一撃を生み出せるか。優しさを乗り越え、勝負の領域に踏み込めるか。その先にしか、王者を揺るがす景色はない。積み上げてきた時間と、新たに加わった力。そのすべてを束ね、大分商業は頂点に挑む。


(柚野真也)

大会結果