県スポーツ少年団駅伝交流大会 男子 豊後高田陸上クラブが連覇達成 【大分県】
陸上競技
インターハイのあとvol.5 練習チャンピオンから本物のチャンピオンへ 奈須貴子(大分雄城台2年)
し烈な競争を勝ち抜き、インターハイ(全国高校総体)への切符をつかみ取った高校生アスリートたちのその後を追った「インターハイのあと」。5回目は大舞台で大きく飛躍した大分雄城台高校2年の奈須貴子。真のチャンピオンになるための真価が問われる。
中学まで大舞台で結果を出せなかった。緊張で頭が真っ白になって、普段の力の半分も出せない。“練習チャンピオン”と呼ばれていた彼女が成長した。今夏のインターハイ陸上女子円盤投げで奈須は3位となった。「自己ベスト(43m05)ではなかったけど嬉しい」とあふれんばかりの笑顔を見せてくれた。
中学までは砲丸投げの選手として名の知れた奈須だが、全国大会では記録を残せなかった。「練習ではすごくリラックスできるのに、大きな大会になればなるほど自分の力を発揮できなかった。期待してくれる方、応援してくれる方に申し訳なくて…」
高校生になり心機一転。砲丸を円盤に持ち替えた。理由は「円盤の方が遠くに飛ぶから」。短距離走から砲丸投げに転向したときも、「何となくやってみようと思った」と強いこだわりはない。しかし、良く言えば固定観念がなく、柔軟に対応できることが奈須の持ち味なのだ。円盤投げへの転向は砲丸投げと同じ投てき種目であり、肩が強く、投げた後の“振り切り”の強さを生かせる成算もあった。
いつも笑顔、ポジティブな奈須貴子
奈須の才能が一気に開花したのは1年生の冬の鍛練期。筋力強化に重点を置き、肉体改造したことで瞬発力が向上した。スピードが上がったことで遠心力が増し、体の重心移動がブレず、最後の振り切りまでの流れがスムーズになった。飛躍的に距離が伸び、自己ベストを9m更新する。「1年でこれほど急成長する選手を初めて見た」と佐藤功治監督は驚きを隠せない。
2年生になってからも順調に成長曲線を描き、初めて出場したインターハイ。これまでの奈須であれば力を発揮できずに終わっていたが、高校に入り、向上心の強い指導者や先輩、同級生がいる環境で「考え方が変わった。私より期待されている選手がいっぱいいたし、そんな選手に比べれば私なんてノープレッシャー。自分がこれまでやってきたことを全て出せばいいと思えるようになった」。予選から全国の実力者たちが記録を伸ばせずにいた。ダークホースの奈須は着実に結果を残し、自己ベストに及ばなかったが42m83で憧れの表彰台に立った。
「今年は運が良かっただけ。来年は注目される立場になるし、プレッシャーも掛かると思う。でも、そこで結果を出し、“本物のチャンンピオン”になりたい」。年内に45mを投げ、高校最後の年に50mを投げる。とてつもなく大きな目標であるが、自信に満ちた笑顔を見ると決して可能性はゼロではないと思えた。
日本一を目指す戦いは始まっている
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Vol.2 なぎなた 大分西高
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(柚野真也)