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インターハイのあとvol.4 3度の大けがから復帰した不死鳥 大谷夏稀(大分雄城台3年)

インターハイのあとvol.4 3度の大けがから復帰した不死鳥 大谷夏稀(大分雄城台3年)

 全国高校総体(インターハイ)出場選手のその後を追った「インターハイのあと」。第4回は、3度の大きな手術を乗り越え、高校最後の競技生活を全力で駆け抜ける大分雄城台の大谷夏稀(3年)を取材した。

 

 大きなけがを3度乗り越え、昨年9月の県高校新人大会でようやく高校陸上のスタートを切った女子砲丸投げの大谷。今もリハビリを続け完全復活したわけではないが、高校最後の夏にインターハイに初出場、7位に入賞した。「全国の舞台に戻れてうれしかったが、試合としては悔いが残る」と本人が話すように完全燃焼とはいえず、9月の国体、10月のU18日本陸上競技選手権大会で表彰台を目指す。

 

 大谷は中学3年と高校1年の時に右膝前十字靭帯を2度断裂し、さらに高校2年の時に右膝半月板を損傷、3度も大きな手術をしている。「競技を辞めようと思ったこともある」。周囲の期待に応えることができない自分を追い詰めたのは一度や二度ではなかった。しかし、そのたびに中学の頃に全国大会で獲得した賞状やメダルを見て、もう一度“全国舞台”で輝くことをイメージした。つらいリハビリも復帰後に「飛躍するための準備」と捉え、上半身を鍛えながら、仲間のサポートに徹する日々を過ごす。佐藤功治監督は「競技を辞めてもおかしくない状況だったが、明るく気丈に振る舞い、目標を見失わずによく耐えた」と支え、見守った。

 

高校最後の夏、見事に復活した大谷夏稀

 

 練習に復帰したのが1年前。「砲丸を初めて投げた時のうれしさがよみがえった」。中学2年の時に走り幅跳びから砲丸に転向し、「投てき競技の中で一番距離が飛ばない砲丸投げに魅力を感じた」。数cm、数mmで勝負が決まる世界にのめり込んだ頃を思い出し、純粋に競技を楽しめた。身体能力は高く、佐藤監督は「男子並みの筋力がある」と驚く。ベンチプレスは最大90kg、バーベルを床から肩の高さまで一気に持ち上げるハイクリーンでは80kgを10回連続で持ち上げる。この爆発的な瞬発力が大谷の武器である。

 

 インターハイでは、久しぶりの全国舞台に足の震えが収まらなかったが、雰囲気にも慣れた決勝では自己ベストの13㍍50を出した。表彰台には届かなかったが、佐藤監督は「これからの大会に期待が持てる一投だった」と称した。大谷は「ようやくスタートラインに立てた。万全ではないが、けがを恐れるよりどこまでも自分の限界に挑戦したい。最大限の力で突っ走りたい」と次の目標に目を向けた。

 練習場の入り口の横断幕に「砲丸を15m飛ばして日本一 佐藤先生と一緒に笑うために」と大谷が書いた目標があった。

 

恩師と慕う佐藤功治監督とともに自己ベストを目指す

 

「インターハイのあと」連載記事はこちらから

Vol.1 ボクシング 安達魁渡(鶴崎工業高)

Vol.2 なぎなた 大分西高

Vol.3 ボクシング 河野泰斗(鶴崎工業高)

Vol.4 陸上 大谷夏稀(大分雄城台高)

Vol.5 陸上 奈須貴子(大分雄城台高)

Vol.6 カヌー 田中智貴(高田高)

Vol.7 フェンシング 御手洗拓真(大分豊府高)

 

(柚野真也)

大会結果