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全国高校サッカー選手権県予選特集 シード8校を徹底紹介(6)鶴崎工業 堅守に加わった得点力 【大分県】

全国高校サッカー選手権県予選特集 シード8校を徹底紹介(6)鶴崎工業 堅守に加わった得点力 【大分県】

 全国高校サッカー選手権大会への切符は、ただ一枚。10月17日の県予選となる大分県大会開幕を前に、シード8校を紹介する。第6回は県高校新人大会、県高校総体ともに延長戦の末、ベスト8に終わった鶴崎工業。伝統の堅守に加え、けが人が復帰し、攻撃力も上昇している。

 新チームで臨んだ県高校新人大会はベスト8。県高校総体も同じくベスト8だった。ともに敗れたのは延長戦。4強の背中は見えている。それでも、最後の一線を越えられなかった。原因の一つが得点力だった。粘り強く守り、簡単には崩れない。伝統の堅守は今年も健在だが、奪ったボールをどうゴールにつなげるか。接戦を勝ち切るための「1点」が足りなかった。

 その鶴崎工業が、全国選手権県予選を前に変わり始めている。12日のOFAリーグ(1部)の柳ケ浦戦。スコアには「8―2」という、これまでのチームの印象を覆す数字が刻まれた。中津留正三監督は「いやいや、たまたま入っただけ。攻撃は日替わりだから」と浮かれる様子はない。だが、8得点を偶然だけで片付けることもできない。

 県高校総体後、チームは守備の約束事をあらためて整理しながら、攻撃にも手を加えてきた。どのタイミングで守備スイッチを入れ、ボールをどこで奪うのか。そして奪った後、どうゴールまで運ぶのか。夏を通して一つずつ共通認識を増やしてきた。

身体能力を生かし、前線で起点となる深川

 その攻撃の中心にいるのがFW深川竜斗(3年)だ。体の強さを生かして前線でボールを収めるだけではない。シュート、最終ラインの背後への飛び出し、ヘディングと多彩な武器を持つ。中津留監督が「身体能力が高く、いろいろなプレーができる」と評するエースは「攻撃で圧倒できるチームになった」と手応えを口にする。

 そして、今年のチームをさらに不気味な存在にしているのが、渡辺碧海(同)の復帰だ。深川とは小学生の頃から2トップを組んできた。しかし、前十字靱帯(じんたい)のけがに苦しみ、復帰後に再び負傷。2年近く公式戦から遠ざかった。今年6月の県高校総体にも出場できなかったが、3年生にとって最後の大会を前にようやくピッチへ戻ってきた。

 渡辺が加わった意味は、単純に攻撃の駒が一つ増えたというだけではない。これまで深川に集まりがちだった相手の警戒を分散でき、前線の組み合わせも増える。何より互いの動きを知り尽くした2トップが、高校最後の舞台を前に再び並んだことが大きい。渡辺は毎朝、一人でも練習するという。周囲への指示もできる。中津留監督は「周りに対する影響力がある。みんなからの信頼も厚い」と話す。長いリハビリを乗り越えてきた姿そのものが、チームに力を与えている。

大量得点を取ってもチームに慢心はない

 堅守はそのままに、前線には深川と渡辺がいる。守って耐えるだけだったチームが、自ら点を奪って試合を動かせるようになれば、相手にとってこれほど嫌な存在はない。それでも中津留監督は8得点に踊らされない。「勝ちを積み重ねることがチームの自信になる。一戦一戦やっていく」。OFAリーグで実戦を重ね、勝つ感覚を体に染み込ませていく。

 県高校新人大会も県高校総体も、延長戦の先に4強を逃した。ならば今大会では、その「あと一歩」を踏み越えたい。守れる鶴工から、守れて点も取れる鶴工へ。深川と渡辺の2トップがそろった今、その変化こそが鶴崎工業の怖さとなる。 (柚野真也)


大会結果