U―17日本女子サッカー代表候補 順調だからこそ貪欲に 世界を見据える大下紗也奈(柳ケ浦2年) 【大分県】
サッカー
全国高校サッカー選手権大会への切符は、ただ一枚。10月17日の県予選となる大分県大会開幕を前に、シード8校を紹介する。夏の県王者、連覇を狙う強豪、頂点をうかがう実力校。それぞれが積み重ねてきた時間と最後の冬に懸ける思いに迫る。第3回は県高校総体で準優勝した中津東。多彩な戦い方を武器に5年ぶりの全国高校選手権出場を狙う。
県高校総体で手にした準優勝は、自信だけを残した訳ではない。自分たちの強さと、まだ埋めなければならない差。その両方を知ったからこそ、中津東は5年ぶりの全国高校選手権出場を本気で狙える場所にいる。
県高校総体では準々決勝で優勝候補の大分鶴崎を撃破。その勢いのまま決勝まで駆け上がり、準優勝を果たした。あと一つで頂点には届かなかったが県代表として九州大会へ進み、県外の強豪と真剣勝負を経験したことは大きかった。「自分たちがやりたいことはできる。でも最後にやり切れず逆にやられてしまう」。首藤啓文監督は九州大会で感じた差をそう振り返る。通用した部分があったからこそ、その先にある壁も鮮明に見えた。
この夏は思い切った強化に踏み切った。チーム戦術の練習をほとんど行わず、一人一人の成長に時間を使った。猛暑を考慮して早朝から約2時間、1対1などの実戦的なメニューに取り組み、その後はジムで体を鍛えた。「夏休みは個人の能力にフォーカスした。ここから、それを一つのチームに束ねていく」(首藤監督)

個を磨く夏からチームをつくる秋へ。その変化こそチームが全国高校選手権までに描く成長曲線だ。目指すサッカーも一つの形には縛られない。相手が前から圧力をかければ、迷わず背後へロングボールを送り込む。相手がそれを警戒して下がれば、今度はボールを保持して攻める。システムを2つ用意し、相手や時間帯、試合展開によって戦い方を変える。「いくつかの引き出しを出せるようにしたい」。首藤監督が求めるのは相手に合わせるだけのサッカーではない。相手が嫌がることを見極め、自分たちから戦い方を変えていくサッカーだ。
県高校総体準優勝。それだけを見れば中津東は優勝候補の一角である。しかし首藤監督はチームの立ち位置を冷静に見ている。「3年生は1年生大会でベスト16だったチーム。最初から県内を圧倒してきた世代ではない」。それでも3年間、それぞれの長所をつなぎ合わせ、県高校総体では優勝候補を倒すところまでたどり着いた。

「強い相手と10回戦えば7回負ける。でも勝てる3回はある。その1回をこの大会に持ってくる」(首藤監督)。県予選で必要なのは10回のうち10回勝てる強さではない。その日に勝ち切る強さだ。夏に一人一人が磨いた武器を一つへ束ねる。ロングボールもパスワークも、3バックも4バックも使う。決まった型を持たないことこそ、このチームの型なのかもしれない。勝てる「3回」のうちの一度を勝負どころの一戦に。5年ぶりの大舞台を目指す中津東は、その瞬間を引き寄せる準備を進めている。 (柚野真也)
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