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2026全国高校野球大分大会 【決勝戦の見どころと展望】 大分商業と津久見 甲子園を懸けた頂上決戦 【大分県】

2026全国高校野球大分大会 【決勝戦の見どころと展望】 大分商業と津久見 甲子園を懸けた頂上決戦 【大分県】

 劇的な結末が二つ続いた。第108回全国高校野球選手権大分大会は、準決勝で大分商業と津久見がともに九回に試合を動かし、決勝進出を決めた。大分商業は夏5連覇中だった王者・明豊をサヨナラで破り、津久見は九回に4点を奪って大分舞鶴を逆転。ともに最後まで諦めない姿勢を貫いたチーム同士が、甲子園への最後の一枚を懸けて激突する。

王者を倒した「全員で勝つ」大分商業

 大分商業が明豊戦で証明したのは、エースだけのチームではないということだった。準決勝の先発はプロ注目の平田玲翔(3年)ではなく米田泰志(同)。那賀誠監督は「教育的な意味ではなく、本気で勝負を懸けて米田を先発させた。僕の中ではエースでもおかしくないくらい信頼している」と言い切る。米田が序盤三回をつくり、四回途中からは平田が流れを引き戻した。

 七回に追い付き、八回に勝ち越しながら九回には再び追い付かれる。それでも動揺はなかった。九回裏、菅原翔空(同)が2打席連続となる三塁打を放ち、木村颯汰(同)の内野安打でサヨナラ勝ち。米田が耐え、平田が流れを止め、菅原が好機を演出し、木村が決める。那賀監督が「日替わりでヒーローが出る」と語るように、一人ではなく全員でつないだ勝利だった。

 「相手がどこでも、やることは変わらない。大分商業らしい野球をするだけ」。その言葉通り、送りバントや走塁、小さなチャンスを確実に得点へつなげるスタイルは大一番でも揺らがなかった。

 決勝でもポイントは投手運用になる。準決勝で長いイニングを投げた平田の負担を、米田をはじめとする投手陣がどう分け合うか。総合力で勝ち切る野球が、再び試される。

サヨナラ勝利で決勝進出した大分商業


失敗を力に変えた津久見の「九回力」

 一方の津久見も、準決勝で驚異的な粘りを見せた。八回を終えて2―4。打線はわずか2安打。相手投手のカットボールとチェンジアップに翻弄され、流れは完全に大分舞鶴へ傾いていた。それでも、津久見は自分たちの野球を捨てなかった。藤丸崇監督は「もう一回、形をしっかりしよう」とベンチで繰り返した。狙うのはベルト付近のボール。下半身から始動する打撃フォーム。日頃の練習で積み重ねてきた形を最後まで信じ続けた。

 八回頃には「下を向いて終わるのは津久見らしくない。笑ってやるぞ」(藤丸監督)とベンチを盛り上げた。空元気でも笑顔をつくる。その空気が九回の猛攻につながった。藤田拓海(3年)を皮切りに3連打で反撃の口火を切り、最後は倉員涼太(2年)が決勝の適時二塁打。八回まで沈黙していた打線が、一気に4得点を奪った。

 「失敗をたくさん重ねた結果、最後に実った」。藤丸監督の言葉は、この試合だけではない。新チーム発足時から掲げてきた「ここ一番で勝てるチーム」が、準決勝で形になった。

 決勝でもポイントは守りだ。四球を減らし試合を壊さないこと。そして接戦を終盤まで持ち込めれば、準決勝で見せた勝負強さが大きな武器になる。

粘りと結束力で決勝に駒を進めた津久見


勝敗を分ける3つのポイント

 決勝は、派手な打撃戦よりも一球、一点を争う展開になりそうだ。注目したいポイントは三つある。
 一つ目は、大分商業の投手リレーだ。平田をどこで投入し、米田らとどうつなぐか。那賀監督の継投が勝敗を左右する。
 二つ目は、津久見が試合終盤まで食らいつけるか。大分商業は終盤に強く、津久見も九回に最大の力を発揮する。ロースコアで終盤を迎えれば迎えるほど、試合は分からなくなる。
 三つ目は、下位打線の働きだ。大分商業は9番・菅原がサヨナラ劇を呼び込み、津久見も藤田を起点に九回の反撃が始まった。流れを変える一打は主軸ではなく下位打線から生まれるかもしれない。

 2013年以来の夏の頂点を狙う大分商業。1988年以来、38年ぶりの甲子園を目指す津久見。王者を倒した「全員野球」と、土壇場で底力を発揮する「古豪の粘り」。どちらも準決勝で証明したのは最後まで自分たちの野球を信じ抜く強さだった。
 大分の夏を締めくくる決勝戦。甲子園への扉を開くのは、あと1勝をつかんだ1校だけである。

(柚野真也)