三越商事大分杯少年野球 渡町台スカイヤーズが優勝 打撃力が光る元気印軍団 【大分県】
野球
第108回全国高校野球選手権大分大会
7月19日 別大興産スタジアム
準々決勝
津久見 240 011 11|10
上野丘 010 001 10|3(8回コールド)
勝者がいれば、必ず敗者がいる。だが、涙の数だけ強くなれるのもまた真実だ。悔しさを胸に後輩へ、次の自分へとバトンを渡す。勝利だけでは語れない青春が、そこにある。敗者という名の強者たち。“グッドルーザー”の言葉に耳を傾ける。
最後の打者となった瞬間、大塚大和(3年)はうなだれた。悔しさを押し殺そうとしても大粒の涙は止まらない。2試合連続本塁打を放ちながら、心に残ったのは会心の一発ではなく、「打てなかった一球」だった。
第1シードの大分上野丘は準々決勝で津久見に3―10(八回コールド)で敗れた。初回に2ランを浴び、二回までに6失点。春の県王者として甲子園を目指した夏は、あまりにも早く幕を閉じた。
それでも、この敗戦を「序盤の大量失点だけ」で片付けることはできない。二回裏、大塚が右翼へ今大会2本目となるソロ本塁打を放つ。「この試合で終わらせたくなかった。一本出して流れを変え、後ろにつなげたい。その思いだけで振り抜いた」。苦しい展開の中でも、諦めない意思を示す一撃だった。

六回、1点を返してなお一死満塁。流れを変える絶好の場面で打席に立ったのは大塚だった。しかし、結果は見逃し三振。試合後、「あの満塁の場面で打てなかったことが一番悔しい」と振り返った一打席である。さらに七回も好機をつくったが、不運な三重殺。その間に1点を返すのが精いっぱいだった。
試合後、大塚は何度も「申し訳ない」という言葉を口にした。2試合連続本塁打という結果さえ、「それ以外でチームに貢献できなかった」と受け止める。その姿に勝利だけを追い求めてきた3年間の重みがにじんでいた。
松田幸史監督は、大塚の歩みを誰より知る一人だ。「苦労してきた選手なので、この夏によく打ってくれた。野球の神様が頑張りへのご褒美をくれたのかなと思う」。身体能力は高かった。しかし新チームでは投手と外野手を兼任し、外野では準レギュラー。そこから定位置をつかみ、この夏は二試合連続本塁打を放った。「本人の良さを最後に発揮できた」と指揮官は目を細めた。
春の県大会優勝。九州大会に出場し、初戦突破する力を示した。その経験は練習の空気を変えた。「3年生9人が『夏は頂点を狙う』という雰囲気をつくってくれた。その数カ月がチームを大きく成長させた」と松田監督は語る。

その中心にあったのは支え合う文化だった。大塚自身も投手として苦しみ、打者としても三振を繰り返した。「4番の伊藤(大泰、3年)に打ち方を教えてもらい、みんなで支え合ってここまで勝ち上がってきた。一人ではここまで来られなかった」。だから3年間を振り返った時、最初に浮かんだ言葉は「仲間への感謝」だった。
試合後、後輩へ残した言葉も印象的だった。「試合は初回から始まっている。1秒たりとも気を抜かず、来年は頑張ってほしい」(大塚)。勝者だけが歴史を刻むわけではない。春の頂点に立ち、期待を背負い、それでも敗れたからこそ残せる言葉がある。
最後に松田監督は3年生へ「ありがとう」と伝えた。県王者として結果だけでなく、学校生活や日々の振る舞いまで背負い、後輩たちの道標となった世代だった。甲子園には届かなかった。しかし、互いを支え合い、最後まで諦めずに戦い抜いた大分上野丘の夏は確かに次の世代へ受け継がれていく。 (柚野真也)
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