大分トリニータ 清武弘嗣が求めるゴール前のひらめき 【大分県】
サッカー
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高校最後の夏は終わりではない。全国の舞台へ挑む者、世界を見据える者、新たな進路へ歩み出す者―。その一人一人に、この夏だからこそ見える景色がある。勝敗だけでは語れない葛藤や成長、未来への決意を追いかける「3年生、夏物語」。競技人生の節目に立つ高校3年生たちの「今」を通して、その先へ続く物語を描く。
全国高校総体3位という結果を村上凜果(柳ケ浦3年)は素直に喜べなかった。準決勝の十文字(東京)戦、柳ケ浦は前半に2点を先行しながら追い付かれ、PK戦の末に敗れた。冬の全日本高校女子選手権に続く全国2冠は、あと一歩で途絶えた。「あそこで勝ち切れなかったことに自分たちの弱さが出た。まだまだだと思った」。
村上が悔やんだのは失った2点だけではない。2―0から3点目を奪えなかったことだった。「2点リードはサッカーでは怖い点差。そこで追加点を取って試合を決め切れる力がないと、もっと上には行けない」。守り切れなかった試合を点を取り切れなかった試合として捉えるところにストライカーらしさがある。
PK戦では1番手を務め、失敗した。「そこは自分の責任」。言い訳はなかった。だが、敗戦の責任を一人で背負うだけでは前には進めない。村上が目を向けたのは、そこに至るまでの日常だった。「練習でも言われてからやるのでは遅い。自分たちからスイッチを入れないといけない」
昨冬、柳ケ浦は全日本高校女子選手権を制し、日本一になった。頂点を知ったからこそ、村上は結果だけを強さの物差しにはしない。練習への入り方、普段の行動、サッカー以外の振る舞い。試合当日の90分の強さは、そういった部分からもつくられると感じている。

大分で生まれ育ち、サッカーの腕を磨いてきた。中学年代では大分トリニータレディースでプレーし、技術と勝負への意識を高めた。その後、柳ケ浦へ進学。高校年代で全国の強豪とぶつかりながら、ゴールを奪うストライカーとして成長してきた。昨冬には全日本高校女子選手権で日本一を経験し、今ではWEリーグのクラブからも注目される存在となった。
自身にも厳しい。今大会は1回戦で2得点を挙げたものの、その後はゴールから遠ざかった。「チャンスはあったけど決め切る力がまだない」。ボールを収めて起点となり、クロスに合わせ、反転からシュートまで持ち込む。得点パターンの多さは村上の魅力であり、WEリーグのクラブからも注目を集める。それでも本人が求める基準はシンプルだ。「やっぱりゴール。紅白戦から結果にこだわって貪欲にプレーしたい」。評価ではなく、数字で自らの価値を示そうとしている。
その成長を後押しする存在が2トップを組む1年生の上本恭子だ。各年代の日本代表活動などで高いレベルを経験し、スピードを生かして背後を狙う上本に対し、村上は前線で体を張り、ボールを収める。互いの特徴を補い合う一方、「自分もまだ負けているところがある」と後輩から刺激を受ける。だからこそ3年生として「もっとコミュニケーションを取って、自分が引っ張りながら恭子の良さを出したい」と考えている。競いながら生かす。その関係が柳ケ浦の攻撃をさらに厚くする。

次に待つのは、成年女子県代表として臨む国民スポーツ大会(国スポ)の九州ブロック予選だ。高校生とは異なるカテゴリーの選手とぶつかる舞台は、自らの力を測る絶好の機会となる。「通用する部分も、しない部分もあると思う。でも、そこで通用していかないと上には行けない」。WEリーグを視野に入れる村上にとって、その言葉は重い。高校年代の枠を越えた相手に何ができるのか。求めるのはやはり「結果」であり、「どんな相手でも得点すること、負けないことにこだわる」と言い切る。
そして冬には、王者として迎える全日本高校女子選手権がある。今度は追う側ではなく、追われる側だ。夏の全国3位は村上に満足ではなく宿題を残した。決め切る力、日常の意識、チームを引っ張る責任。国スポで一段上の相手に挑み、その経験を冬へ持ち帰る。
「柳ケ浦らしく、泥くさくプレーしたい」(村上)。周囲の評価が高まっても村上のプレースタイルは変わらない。泥くさく、ゴールを狙い続ける。夏に届かなかったあと一歩を埋める方法を村上は知っている。誰よりもゴールに貪欲になることだ。 (柚野真也)
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