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別府翔青吹奏楽部 二つの才能が奏でる未来図 【大分県】

別府翔青吹奏楽部 二つの才能が奏でる未来図 【大分県】

 この春、別府翔青高校吹奏楽部に将来を期待される1年生2人のクラリネット奏者が入部した。今年3月に開催された「第28回日本ジュニア管打楽器コンクール」の中学生コースで金賞(1位)に輝いた山上和花(のどか)と、銀賞(2位)を受賞した木丸怜那だ。同コンクールは全国から選抜された若手演奏家たちが集い、ソロ演奏の技術と表現力を競う舞台。大分県から出場できる奏者も限られており、その中で金賞と銀賞を独占した2人への注目は大きい。

 頂点に立った山上がクラリネットと出合ったのは中学1年の時だった。幼い頃からピアノに親しんでいたが、吹奏楽部の体験入部で耳にしたクラリネットの音色が心をつかんだ。「先輩たちの奏でる温かく優しい音に魅了された。いつか自分も、そんな音を届けられる奏者になりたいと思った」。憧れを胸に楽器を手にしたものの、最初は思うように音が出なかった。息の入れ方、指の動き、音程の取り方。その一つ一つに苦しみながらも、積極的に先輩へ質問し、自宅でも練習を重ねた。

「第28回日本ジュニア管打楽器コンクール」で1位、2位を受賞した

 中学3年時、目標としていた大会で思うような結果を残せず、大きな悔しさを味わった。その2日後には日本ジュニア管打楽器コンクールを控えていたが、気持ちの整理がつかず、出場を諦めかけたという。それでも踏みとどまった。「やめようと思った時、これまで支えてくれた家族の顔が浮かんだ。感謝と恩返しの気持ちで挑んだ」。悔しさを力に変えた演奏は審査員の心を動かした。中学から本格的にクラリネットを始めて約3年。積み重ねた努力と挫折を乗り越えた経験が、山上の音楽に深みを与えていた。

 一方の木丸は、幼い頃から音楽に親しんできた。9歳でウインドアンサンブル荷揚に入団し、ホルンや打楽器などさまざまな楽器を経験。その中で出合ったクラリネットに強く引き寄せられた。「倉堀先生の演奏を初めて聴いた時、吸い込まれるような音色に魅せられた。こんな奏者になりたいと思った」。目標となったのは外部指導者として全国で活躍する倉堀翔氏だった。その背中を追い続けながらも、木丸は音楽を楽しむことを忘れなかった。

 楽しむ気持ちは、自然と豊かな表現力につながった。小学生の頃から数々の演奏会やコンクールに挑戦し、その実力は早くから高く評価されてきた。中学時代も着実に経験を積み重ね、県内外の舞台で演奏する機会を重ねながら成長。技術だけでなく、聴く人の心に寄り添う表現力も磨いていった。

アンサンブルコンテスト全国大会出場を目指す山上(左)と木丸

 そんな2人が進学先に選んだのが別府翔青だった。理由は共通している。「中村先生に教わりたい」。その思いだった。2人とも大分市内から通学する。距離よりも、自分を成長させてくれる環境を優先した。顧問の中村慎之助教諭は言う。「2人の素晴らしい才能と実力は、倉堀先生の導きの賜物。大分県の高校として長年届いていないアンサンブルコンテスト全国大会出場という目標に向かって、大きな力になってくれるはずだ」。さらに、「地域に根差した音楽活動を続けながら、演奏そのものの音楽性も高めていきたい」と語る。もちろん、その実現には部員全員の成長が欠かせない。その中で2人は大きな刺激となり、新たな挑戦の原動力となる存在である。

 それぞれ異なる歩みを重ねてきた二人が、同じステージで新たなスタートを切った。別府翔青吹奏楽部の未来を担うクラリネット奏者たち。その音色は、仲間たちとともに新しい歴史を奏でようとしている。 (塩月なつみ)