全国高校選抜大会出場校特集 ハンドボール男子 30点取られても31点で勝つ これが大分高スタイル 【大分県】
ハンドボール
NEW!
地元開催という特別な舞台に大分雄城台が挑む。全国高校ハンドボール選抜大会、開催県枠での出場ではあるが、決して記念出場ではない。1年生にはナショナル・トレーニング・アカデミーの育成合宿に選出された選手が3人いる。素材の質、層の厚さともに全国水準にあるチームだ。
だが、その実力を十分に発揮できなかったのが九州地区大会だった。大会直前にエースの合沢蒼風(1年)が骨折。将来を見据えた決断として出場を見送ったが、その影響は小さくなかった。さらにインフルエンザの流行が重なり、主力を欠いたままチームは不完全な状態で戦うことを余儀なくされた。
それでも、この経験は決して無駄ではなかった。エース不在の中で露呈したのは、戦術面ではなく心だった。合沢がいれば相手の守備は集中するが、不在となったことでマークが分散して攻撃はスムーズに機能しなくなった。焦りが生まれ、プレーの選択が狭まる。持てる力を出し切れないまま、試合は崩れていった。「本来なら準決勝、決勝まで進める力はある」。平井徳尚監督の言葉には、確かな手応えと同時にメンタル面への課題がにじむ。

一方で、収穫もあった。これまで出場機会の少なかった選手たちがコートに立ち、それぞれが自分の現在地を知ったことだ。穴を埋めようと全員がもがいた時間は、チームに新たな競争と成長をもたらした。「力を発揮できた選手とできなかった選手がはっきりした」(平井監督)。その事実こそ、全国へ向けた最も大きな材料である。
今年のチームは明確なコンセプトの下にある。ベースはディフェンス。ミスをしても戻る、守り切る。その上で、攻撃ではプラスワンを生み出す。数的優位をつくり、得点の確率を高める。単なる速攻頼みではなく、意図的に局面を動かし、シュートへと結びつける構造的な攻撃だ。これまで以上にバリエーションは広がり、戦術の幅は確実に増している。
さらに武器となるのがサイズだ。身長180センチを超える選手が並び、歴代でも屈指の高さを誇る。強固なディフェンスで相手を押し返し、ポストプレーで優位を築く。そこに小柄な選手の機動力が加わり、空間を切り裂く。そして最後はビッグマンが仕留める。高さとスピードの融合が、このチームの特徴だ。

キャプテンの酒井幸真(2年)は言葉を引き締める。「九州では自分たちのプレーができなかった。今年はディフェンスから速攻で流れをつくるチーム。全国では相手を28点以内に抑えて勝ちたい」。目指す姿は明確だ。守って、走る。シンプルだが、最も再現性の高い勝ち方である。
初戦の相手は花巻北(岩手)。ここを突破すれば、第2シードの浦和学院(埼玉)が待つ。平井監督は「勝てない相手ではない」と言い切る。接戦に持ち込めば、勝機はある。その裏付けは、ここまで積み上げてきた手応えにある。「この大会は成果と課題を見つける場。課題はそのまま伸びしろになる」。チームの視線は、結果だけに向いてはいない。未完成であることを受け入れ、前へ進む覚悟がある。
(柚野真也)
地区を選択
学校名を選択