トリニータの歴史を彩った選手たちの今⑦ 浮気哲郎(大分トリニータヘッドオブコーチング)

2020/05/16
  • 大分トリニータ

クラブの哲学を整理し、育成基盤をつくる

 

Q:19年から“大分に戻り”、ヘッドオブコーチングに就任しましたが、その経緯は?

 西山哲平がGMになる前から、チームを離れた後も連絡がありました。いつも僕が困ったときに連絡をくれていた印象です。そういう中で、僕は18年に富山の監督を解任された後、海外で指導のキャリアを積んでいました。そのときに電話があって、「大分独自の育成クラブをつくりたいと考えているけど、どうですか」と早いタイミングからオファーをもらっていました。そういうつながりで、このクラブに戻ってきました。

 ヘッドオブコーチングとは、簡単に言えば「観る人に感動を与える躍動感のあるサッカー」というクラブの哲学を指導者と共有し、何をするのか整理整頓することですかね。

 

Q:アカデミーの指導者は、大分でプレー経験のある選手が多いですよね。

 どの指導者もクラブに貢献し、選手に教えたいという思いはありますが、大分でプレーしたことのある選手が指導者として戻ってくることは、そこの温度が2倍も3倍も熱くなる。強い思いがあって、クラブや選手のために汗をかける人が集まるのも大分らしさ。Jクラブのモデルになると思っています。

 大分の育成は昔から定評があるので、僕だけでなくアカデミーのスタッフは責任を感じています。アカデミーからトップまで選手を大切に育てる姿勢がクラブから出ています。過去からつながっている育成力ですが、そのスピード感を上げるために全力を尽くしたいと思っています。

 

Q:昨年はアカデミーの選手の海外派遣がありました。

 クラブがなくなるかもしれないという大変な状況を経験し、やりたい事がなかなかできなかった。そのひとつが育成年代の国際経験でした。経営状況が立ち直り、昨年から実現できました。育成年代の吸収力は我々の想像以上で、感受性の高い時期に海外のサッカー、文化に触れることは大きな成長や経験になり、手応えを感じています。今年もU―15の選手をスペインやポルトガルに連れていくはずでしたが、コロナの影響でキャンセルになったことは残念です。

 

Q:では最後にトップチームに望むことは。

 昨年からトップチームの練習を見ていますが、スタッフも選手も地に足をつけて真面目にサッカーと向き合っています。サッカーを大事にしている空気感を感じるし、クラブの求める結果を目指しながら、選手を成長させることができているので充実しています。望むことがあるとすれば、これからもトリニータらしくひた向きに全力で取り組むチームであってほしいです。

 

 

■プロフィール■

うき・てつろう/1971年10月4日生まれ、千葉県出身。東京ガス→市原→東京ガス→大宮→山形→大分→湘南→横浜F C→刈谷、大分トリニータ在籍は2年間。J1通算12試合0得点、J2通算218試合3得点。現役時代は各カテゴリーを経験し、どのチームでもキャプテンシーを発揮してチームを引っ張った。引退後も各カテゴリーで監督、コーチを経験し、2019年から大分のヘッドオブコーチングとして育成を統括する。

 

 

(柚野真也)

 

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