大分トリニータ 若きタレントたちが見せた意地と問われる真価 【大分県】

2025/03/29
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 結果は2-3。数字だけを見れば、惜敗と片付けられる試合かもしれない。だが、この日の大分トリニータのピッチ上には、それ以上の意味があった―。YBCルヴァン・カップ1回戦。ホームにレノファ山口を迎えた大分は、リーグ戦から中2日というタイトなスケジュールの中、先発を総入れ替えする策をとった。いわば、育成と競争を重視したチャレンジである。

 

 前半、大分は狙い通りのボール保持とビルドアップで主導権を握った。だが、セットプレーからのカウンターで失点を喫すると、後半には守備の甘さが露呈し、立て続けに2点を失う。スコアは0-3。敗色が濃厚となる中、片野坂知宏監督はギアを上げる決断を下した。3バックから4バックへのシステム変更。攻撃に比重を置いた布陣に切り替え、後半30分、今季初出場となるFW屋敷優成をピッチへと送り出す。その直後だった。屋敷はキム・ヒョンウのゴールをアシスト。さらに2分後、木許太賀のクロスに左足で合わせ、自らも得点を記録する。

 

 「1点取れば流れが変わる」と送り出された片野坂監督の期待に、屋敷は見事なプレーで応えた。ただ、追撃もここまでだった。悔しさをにじませつつ、指揮官は冷静に試合を総括する。「後半の勢いは評価できる。ただ、2点目、3点目の失点は準備不足。個人戦術の甘さがあった」。特に守備陣、大卒1年目のDF宮川歩己にはポジショニングと判断の甘さが突きつけられた。空中戦での奮闘は光ったものの、失点場面では一瞬の遅れが致命傷となった。これこそがリアルな経験であり、敗戦が選手に与える最大の糧である。

 

先発メンバーを総入れ替えしたカップ戦

 

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