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敗者の涙④ 春の高校バレー男子県予選 大分工業 栄光を寸前で取り逃した3年生の思い受け継ぐ

敗者の涙④ 春の高校バレー男子県予選 大分工業 栄光を寸前で取り逃した3年生の思い受け継ぐ

 大分南の連覇で終えた男子の全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)県予選。決勝戦は第5セットまでもつれる大熱戦となった。晴れ舞台を目前に涙をのんだ大分工業。試合後の江崎裕之監督の言葉が全てを表していた。「あの場面(第5セットのマッチポイント)でスパイクが決まらずシャットアウトを2本食らうということは、お前たちのスパイクは全国では通用しないよと言われているということ。潔く負けを認めて前を向いて来年リベンジすると思うなら、この2点を取り返さないと」。緊迫した場面での決定力が勝負の明暗を分けた。

 

 緊張で硬さのあった第1セットを大分南に先取された大分工業だったが、第2、第3セットを連取して先にセットポイントを取った。勝機は大分工業にあった。しかし、春の高校バレーを経験した3年生の2枚エースを擁する大分南は底力があった。第4セットの勝負所で確実にポイントを取り、勢いづいた。キャプテンの加嶋祐汰(3年)は「自分ならできる、仲間を信じてプレーしたが(大分南の2枚エースの)羽田野拓実と城井隆匡が気持ちのこもったスパイクを打ってきて、それに対応しきれなかった」と悔やんだ。

 

緊迫した場面での決定力が勝負の明暗を分けた

 

 ポイントとなった局面を見ていくと大分南が勝っていた。一瞬のプレースピードやブロック、レシーブの反応など、それ自体は紙一重だったが、ワンプレーではわずかの差であっても、これまでの積み重ねが勝負を分ける。決勝ではブロックで奮闘し、加嶋との息の合ったコンビネーションでポイントを奪った三代竜也(3年)は、その差を痛感した一人だった。「自分の3年間は本当に仲間に支えられ、ここまで強くなった。最後まで仲間を信じて、自分のプレーをしたけど、日々の練習で集中してやっていれば結果も違ったと思う」

 

 負けた試合は取り戻せない。そう思えばこそ悔しさが込み上げ、涙も出る。実力を発揮できなかったことや相手が上だったと認めなければいけない現実。怒りや落胆、失望、あらゆる負の向かい風に襲われる。加嶋は「3年生はこれで終わった。1、2年生はこの悔しさを忘れずに絶対に来年リベンジしてほしい。俺らも絶対に応援に行く、練習へも行く」と後輩に思いを託した。

 

 江崎監督はこんな言葉を残して会場を後にした。「悔しい思いよりも勝って喜ぶことを学ばせたいからやっているんだ。勝って泣け、勝って泣こう」

 

最後までチームを引っ張った加嶋祐汰

 

 

(柚野真也)