
【指導者の肖像〜高校スポーツを支える魂〜】 信じる力が未来を変えていく 柳ケ浦高校バスケットボール部監督・中村誠(前編)
バスケ
新型コロナウイルスの感染拡大で春から全国各地の高校大会で中止が相次ぎ、今夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止が決まった。3年生は一度も試合を行う機会のないまま部活動を引退する可能性がある。ヒーローとなるはずだった3年生は“今”どんな思いを胸に抱いているのか。
大分高校女子バスケットボール部
分散登校が続く間は学年別の練習となり、土・日曜は合同練習が可能となった。それでも接触プレーを避けた限られた練習となるが、部活動休止の間はランニングや自宅での筋力トレーニングしかできなかった。「バスケができてうれしい。ボールが触れて幸せ」と秋吉楓(3年)。その言葉は正直な思いだ。ただ、全国高校総合体育大会(インターハイ)中止の知らせを聞いたときは「気が抜けた」と本音がぽろり。
井場田卓監督は「選手はある程度は覚悟していたと思うが、ショックは大きかったと思う。それでも気持ちを切り替えるところが、この子らのすごいところ」と話す。部活動が休止中だったため、インターハイ中止の知らせをS N Sでやりとりしたが、「『よっしゃー、ガンバル!』といった内容のスタンプがきた。それを見たときは安心した」。今はチーム全体の気持ちは年末の全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)に向かっている。
ようやく全体練習が可能になった
今の3年生が中学入学を機に創部し、中高一貫校の特色を生かして“6年”で強化計画を立てた。決して良い土壌ではなかったが、種をまき、苗を大切に育て、ようやく収穫の時期を迎えたときの新型コロナウイルスの感染拡大。「目標としていた全国大会のひとつが中止となり残念だった」とキャプテンの成松朋華(3年)。2月の県高校新人大会で優勝を逃し、悔し涙を流した。再出発を図ろうとした矢先の出来事だった。
自主練習の期間は、各自が高い意識を持って取り組んだ。「明らかに体幹が強くなったのがわかる」と井場田監督。パス、ドリブル、シュート全てが力強くなり、スピードも増した。今後は状況次第ではあるが、実戦練習を積んでいけばチーム力が上がる手応えはある。「次(ウインターカップ)が最後の大会。一発勝負になるが強い気持ちで挑める」と、どの選手の口からも同じような言葉が出た。
県高校新人大会は準優勝に終わった
(柚野真也)
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