国スポ 期待高まるチーム大分 今年も千点以上目指す 【大分県】
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インターハイのあとvol.7 自己を分析し、長所を伸ばす 御手洗拓真(大分豊府3年)
全国高校総体(インターハイ)出場選手のその後を追った「インターハイのあと」。最終回は思考の蓄積で身体能力を補い、全国3位に輝いたフェンシングの御手洗拓真(大分豊府3年)だ。
フェンシング男子個人エペで3位となった御手洗。鬼門だった3位決定戦でついに勝利し、表彰台に立った。「昨年から九州大会などで3位決定戦で負け続けた。3位と4位の違いを嫌というほど味わった。高校最後の大会で、しかもインターハイで勝てて良かった」と振り返る。
「自分の実力がどれだけのものなのか」。高校最後の夏、これまでフェンシングに費やしてきた時間と情熱を試す機会が訪れた。団体戦では全国大会を経験したことはあったが、インターハイでの個人戦は初めてだった。「相手の雰囲気や会場の空気もこれまでに味わったことがなかったけど、勝ちたい思いは強かった」。緊張を感じながらも奮い立つものを感じた。
初戦から簡単に勝てる試合はなく、リードされる展開が続いたが、「相手が有利な展開になれば油断が出る」と洞察力を研ぎ澄まし、相手の隙を突いて逆転勝利で勝ち進んだ。準決勝では優勝者と対戦し、実力の違いを見せつけられたが、すぐに気持ちを切り替えて3位決定戦に挑んだ。相手の3手、4手先の動きを予測し、試合を組み立て、冷静に的確にポイントを重ねることに集中した。
考える力で実力を伸ばした御手洗拓真
御手洗は自分自身を客観的に分析する。「僕は運動神経が悪いが、相手の動きを読み、考えるのは得意」。御手洗はこれまで小学校、中学校と野球を続けてきたが、才能が開花することはなかった。しかし、高校から始めたフェンシングでは駆け引きや判断力、心理戦で身体能力を補い、強者となった。幼い頃からフェンシング経験のある全国トップクラスの先輩や同級生の練習を見て、見よう見まねで動きを覚え、「どうすればポイントが取れ、何をしたらポイントを取られるのか、いつも考えていた」。この思考の蓄積が御手洗の財産となり、武器となった。
高校最後の集大成として挑んだインターハイでは、「悔いはない。やれることは全部出し切った」。今はフェンシングで鍛えた集中力を受験勉強で発揮し、難関大学の合格を目指す。「夏で出遅れたので、これからが勝負」。剣をペンに持ち替え、新たな挑戦が始まる。
悔いなく高校フェンシングを終えた
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Vol.1 ボクシング 安達魁渡(鶴崎工業高)
Vol.2 なぎなた 大分西高
Vol.3 ボクシング 河野泰斗(鶴崎工業高)
Vol.4 陸上 大谷夏稀(大分雄城台高)
Vol.5 陸上 奈須貴子(大分雄城台高)
Vol.6 カヌー 田中智貴(高田高)
Vol.7 フェンシング 御手洗拓真(大分豊府高)
(柚野真也)