OITA SPORTS

7/1 TUE 2025

supported by

立孝社

その他

インターハイのあと vol.1 これまでにない達成感を味わいグローブを置く 安達魁渡(鶴崎工業3年)

インターハイのあと vol.1 これまでにない達成感を味わいグローブを置く 安達魁渡(鶴崎工業3年)

 全国高校総体(インターハイ)出場選手のその後を追った「インターハイのあと」。

 し烈な競争を勝ち抜き、インターハイへの切符をつかみ取った高校生アスリートたち。全国舞台で勝利を目指し、仲間のために、自分のために真剣な表情で立ち向かう姿に感動し、素顔の彼らに会ってみたい、そんな思いを抱いてオーエス大分スポーツは取材に向かった。

 

 インターハイのボクシングフライ級で3位タイとなった鶴崎工業の安達魁渡(3年)。ボクシングを始めて1年7カ月、日本一にあと一歩及ばなかったが、全力で駆け抜けた時間は何ものにも代え難いものとなった。

 

 「やり切った。悔いはない」。インターハイを終え、すぐに国体九州ブロック大会に出場。本国体への出場権は取れず、高校での公式戦を終えたが晴れやかな笑顔を見せた。

 

 ボクシングと出会ったのは高校1年の冬。小学2年から6年までソフトボール、中学は硬式野球クラブの明野ボーイズに入り頭角を現し、俊足のセカンドとして鶴崎工業に入学する。秋から試合に出場し甲子園を目指したが、力を持て余すやんちゃ者を飯田育夫監督がスカウトした。

 

 ボクシングの魅力を伝えられ、「一緒にチャンピオンを目指してみないか」という飯田監督の一言で安達の闘争心が奮い立った。元々、腕っぷしは強く、50mを6秒で走る瞬発力とバネ、指導されたことをすぐに体現できる器用さがあり、上達は早かった。「練習はきつかったけど、充実感がこれまでやってきた競技より大きかった」とボクシングにのめり込んだ。

 

インターハイ3位となった安達魁渡

 ボクシングを始めて1年足らずで県チャンピオンになるも、全国チャンピオンを数多く輩出する九州での戦いに苦戦した。「負ける悔しさを知り(闘志に)火がついた」と本人が話すように、人一倍負けん気の強い男が本気で日本一を目指すようになった。

 

 性格は勝ち気だがボクシングスタイルはスタイリッシュ。「相手に打たれるのは嫌い。打たれずに倒すのが理想」と、パワーファイターに対してスピードでいなし、アウトボクサーにはパワーを押し出すスタイルで対抗する。飯田監督は「相手に応じて賢いボクシングができる」と評す。

 

 3年となり最初で最後のインターハイでは、2回戦で昨年3位の相手に勝利し勢いづいた。小中学の頃からボクシングを始める県外の経験豊富な選手を次々と倒し、準決勝で敗れたが3位に輝いた。才能豊かな未完のボクサーには強豪大学から勧誘があったが、「これまでにない達成感を味わったのでボクシングに未練はない」と国体九州ブロック大会後にグローブを置いた。

 

 「ボクシングに誘ってくれた飯田先生には感謝しかない。ボクシングのおかげで我慢することを覚えた。厳しい減量に耐え、ご飯の美味しさも知った。すべてに感謝したい」。残りの高校生活は、ボクシング以上に達成感を感じることができるものを探す時間に費やす。

 

「ボクシングに未練はない」と安達

 

「インターハイのあと」連載記事はこちらから

Vol.1 ボクシング 安達魁渡(鶴崎工業高)

Vol.2 なぎなた 大分西高

Vol.3 ボクシング 河野泰斗(鶴崎工業高)

Vol.4 陸上 大谷夏稀(大分雄城台高)

Vol.5 陸上 奈須貴子(大分雄城台高)

Vol.6 カヌー 田中智貴(高田高)

Vol.7 フェンシング 御手洗拓真(大分豊府高)

 

(柚野真也)