3年生、夏物語2026 バレー女子 東九州龍谷 届かなかった日本一 その悔しさを次の力に 【大分県】
バレー
バレーボール女子の東九州龍谷は、全国高校総体(インターハイ)で準優勝した。全国の舞台では久々となる決勝では、横浜隼人(神奈川)と対戦。第1セットを先取したものの、その後3セットを奪われ、9年ぶりの頂点にはあと一歩届かなかった。
エースとして得点を重ねながら、キャプテンとしてチームを引っ張った忠願寺莉桜(3年)。大会を終えて真っ先に口にしたのは、準優勝の手応えよりも「弱さと向き合う」という言葉だった。九州大会で味わった悔しさ、3年生同士でぶつけ合った本音、そしてキャプテンとしてあえて厳しい言葉を投げかける理由。冬の春の高校バレーへ向け、忠願寺が見据えるものを聞いた。
――全国高校総体の準優勝。大会を振り返って、どんなことを感じていますか。
自分たちが強いというところは証明できたと思います。でも、やっぱりあと一歩のところで取り切れない。そこは力不足だと感じました。個人個人で成長できた部分もあれば、まだできなかった部分もあります。チームがどうこうというより、まず一人一人が自分の弱さとしっかり向き合っていかないといけないと思いました。
――全国高校総体前の九州大会では、思うような結果を残せませんでした。そこからどのように立て直したのでしょうか。
九州大会は本当に3年生の力不足で負けてしまったと思っています。だから私は3年生にはかなり厳しいことを言いました。それでもみんながついてきてくれた。今回のインターハイは、3年生の力で勝てた試合もあったと思います。3年生としての責任だったり、頑張らないといけないという気持ちだったり、そういう部分は短い期間でも成長できたと思います。
――九州大会後はミーティングを重ねたのですか。
はい。まず全体でミーティングをしました。1、2年生は頑張っていたので、私は3年生に「これは3年生の責任だよ」と伝えました。その後は3年生だけでも話しましたし、チーム全体でのミーティングも増やしました。私自身がすごく悔しかったので、その時に思っていたことをそのままぶつけました。「3年生が悪いよ。3年生の力不足で負けた」と、本当に直球で言いました。

――かなり厳しい言葉ですね。
そうですね。でも、それまでは私が一方的に言うことが多かったんです。だから試合が終わった後、3年生一人一人に「今、どういう気持ちなのか」「これからどうしていくのか」を聞きました。私が答えを言うのではなく、自分たちで答えてもらいました。
――3年生からは、どんな言葉が返ってきましたか。
試合に出ていた選手たちは、「莉桜を一人にさせてしまった」と言ってくれました。「自分たちがもっと頑張らないといけない。やらないといけないことは分かっているけど、それができない弱さがある」と。だったら、その弱さから逃げずに、みんなでしっかり向き合っていこうという話になりました。
――キャプテンから見て、今年のチームはどんなチームですか。
本当に仲がいいです。私自身、すごくチームをつくりやすいと感じています。ただ、みんな優しいんです。だからこそ、もう一つ殻を破るのが難しいところはあると思います。
――その中で、忠願寺選手が厳しいことを言う役割を担っている?
そうだと思います。結構ズバズバ言えるタイプが自分くらいなので(笑)。自分がその役割を持っている以上、嫌われるとかは関係なく、言わないといけないことは言っていかなければいけないと思っています。ただ、ずっと厳しくしているわけではありません。普段の生活ではしっかり切り替えて、みんなで楽しく過ごすことも意識しています。
――そうした考え方はキャプテンになってから強くなったのでしょうか。
新チームになってからですね。昨年も自分たちには甘さがあって、それで勝てなかった部分があった。そのことは自分が一番分かっていました。いろいろな人から話を聞いたり、教えてもらったりして、考え方の幅も広がりました。だから3年生になってからは自分が感じたこと、伝えた方がいいと思ったことは全部伝えていこうと思うようになりました。
――キャプテンという立場は大変ですか。
本当にきついですし、プレッシャーも大きいです。でも、「じゃあ自分がキャプテンじゃなくなったら」と考えると、それは嫌なんです(笑)。きついけど他の人がやるくらいなら自分がやりたいと思います。

――忠願寺選手自身は、今大会でプレー面の成長を感じた部分はありますか。
今回はディフェンスがすごく良かったと思っています。スパイクで決めることは自分の役割として当たり前だと思っているので、それ以外のところですね。ディフェンスは、これまで取り組んできたことが少しずつ出てきた。まだまだですけど以前の試合と比べても成長していると感じますし、データを見てもボールを上げられる本数が増えてきています。そこは一つ成長した部分かなと思います。
――エースとして、これからどのようにチームの勝利へ貢献したいですか。
全部のプレーで貢献できないと最終的には勝てないと思っています。最後にボールが上がってくるのは自分だと思うので、スパイクだけではなく、全部のプレーの精度をもっと上げていきたいです。
――練習着に自身を表す言葉として「感受性」をつけています。その言葉にはどんな思いがありますか。
キャプテンとして、一人一人の気持ちを感じ取る力は本当に大事だと思っています。プレーがどうこうという前に、まず自分がみんなから信頼されないとチームは成り立たない。だから一人一人の気持ちをしっかり感じて、それぞれの思いを尊重できるようにしたい。その意味で「感受性」という言葉を選びました。
――インタビューでも自分の考えをはっきりと言葉にできます。昔から話すことは得意だったのですか。
いや、あんまり得意じゃないです(笑)。でも、考え過ぎてしゃべるより、その時に自分が思ったことを正直に話した方がいいと思っています。
9年ぶりの全国高校総体制覇には届かなかった。それでも忠願寺が何度も口にした「弱さと向き合う」という言葉には準優勝をゴールにしない強い意志がにじむ。厳しい言葉を仲間へぶつける一方で、一人一人の気持ちを感じ取り、尊重することも忘れない。「嫌われてもいい」と言い切るキャプテンが目指すのは自分だけが引っ張るチームではない。3年生全員が責任を背負い、それぞれが自分の殻を破る集団だ。
全国の頂点まで、あと一歩。その一歩を埋めるための答えを忠願寺はもう見つけている。自分の弱さから逃げず、仲間とともに強くなる。全国高校総体で得た手応えと悔しさを携え、東九州龍谷の3年生たちは次の舞台へ向かう。 (柚野真也)
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