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プロ野球ドラフト会議 平田玲翔(大分商業3年)を育てた探究心 152キロ右腕の知られざる素顔 【大分県】

プロ野球ドラフト会議 平田玲翔(大分商業3年)を育てた探究心 152キロ右腕の知られざる素顔 【大分県】

 名前が呼ばれた瞬間、張り詰めていた表情が緩んだ。笑みがこぼれ、目にはうっすらと涙が浮かぶ。「本当にほっとしたというのが一番。指名されるか分からず、不安の方が大きかった」。プロ野球ドラフト会議で読売ジャイアンツから2位指名を受けた大分商業の平田玲翔(3年)。最速152キロを誇る188センチの大型右腕が、幼い頃から追い続けた夢への扉を開いた。

 生まれたときの体重は4100グラム。父・靖浩さんも185センチの長身だが、高校入学後、久しぶりに会った息子の目線が自分より高くなっていることに驚いたという。「まさか超えるとは思わなかった。まだ伸びていると言うので、どこまで大きくなるのか」。父はうれしそうに笑う。幼い頃から身体能力は抜群だった。父は「どんなスポーツでもすぐにこなしていた。本人が選んだのが野球だったというだけ」と振り返る。ただ、平田の本当の魅力は、恵まれた体格や運動能力だけではない。

 小学1年生のとき、野球の体験入団を翌日に控え、図書館で野球の入門書を借りてきた。まだ漢字も十分に読めない年齢。それでも自分で調べ、準備しようとした。母・朋恵さんは「親でも何を考えているのか分からない子だった。こんなことを考えていたんだと驚かされることが多かった」と懐かしむ。大好物の豚の角煮も、材料を指定し、動画を参考にタレから自作する。納得するまで突き詰める探究心は昔から変わらない。

指名された瞬間は安堵の表情を浮かべた

 その姿勢は野球にも通じる。課題だった制球力を改善するために投球フォームを見直し、夏の県大会では自己最速の152キロを計測。明豊の6連覇を阻み、チームを13年ぶりの甲子園へ導いた。聖地でも日本文理(新潟)戦のピンチで登板し、いきなり150キロを投げ込んだ。打者としても2番に座り、投打で存在感を示した。

 だが、この1年で最も成長したのは人間性かもしれない。今年の1月4日、那賀誠監督からキャプテンを託された。当初は那賀監督にも不安があったという。しかし、平田は期待以上の変化を見せた。「対戦相手をリスペクトし、仲間や下級生にも真摯に接するようになった。思いやりのある言動が増えた。平田の求心力によってチームは大きく成長した」と那賀監督は目を細める。

 平田自身も「自分のことだけでなく、周りのことを考えられるようになった。周りが見えると、さらに自分のことも見えてくる」と語る。自分の力を磨くだけだった少年が、仲間を思い、チームを背負うエースへと成長した。その変化こそドラフト2位という評価につながった大きな要因だろう。

3年以内の1軍デビューを目指す

 高校3年間、母は大分市内で生活をともにし、野球に打ち込む息子を支えた。練習で帰宅が遅くなっても、口を出したい気持ちを抑え、本人の意思を尊重した。「たくさんの人から応援される選手になってほしい」。母の願いは勝敗や数字だけでは測れない。

 平田が目指すのは、巨人の元エース菅野智之のような「チームの顔となる投手」だ。球速160キロ、さらには165キロを視野に入れ、3年以内の1軍デビューを目標に掲げる。高校時代に取り組んだ二刀流への思いも持ち続けている。

 「両親と祖父母に、今までありがとうと伝えたい」。指名直後、真っ先に口にしたのは家族への感謝だった。恵まれた肉体に尽きない探究心。そして仲間を思う心が加わった。152キロは通過点にすぎない。大分で育った18歳の挑戦は、ここから始まる。 (柚野真也)