投手戦を制した藤蔭が28年ぶりの優勝
- 高校野球
第100回全国高校野球選手権記念大分大会は25日、別大興産スタジアムで決勝が行われた。藤蔭が柳ケ浦を1-0で破り、28年ぶりの優勝を果たし、夏の甲子園出場を決めた。
今大会第2シード同士の対戦は、序盤から好投手の投げ合いとなり1点を争う展開となった。藤蔭は6回に4番奥園颯(3年)の右犠飛で先制した1点を、エース市川晃大(3年)が守り完封した。柳ケ浦は自慢の2枚看板が最少失点に抑えたが、打線が相手を上回る8安打を放ちながら、あと一本が出ず援護できなかった。
第100回全国高校野球選手権記念大分大会
7月25日 決勝 別大興産スタジアム
柳ケ浦 000 000 000|0
藤 蔭 000 001 00×|1
柳ケ浦 中園-上間
藤 蔭 市川
二塁打 上間(柳ケ浦)、御手洗2(藤蔭)
藤蔭 1点を守り切り悲願達成
「力まないこと。キレで勝負しよう」と原秀登監督が先発のマウンドに送ったのは市川だった。今大会、4試合をほぼ1人で投げ抜いたエースは、「決勝の雰囲気に興奮せず、落ち着いて投げよう」と強い思いを胸に粘投した。
ヤマ場は2度訪れた。4回に連打で無死一、二塁となった場面で、ここまで全試合で打点を挙げている柳ケ浦の5番・岩崎晃太郎(2年)と対峙する。キレのあるストレートとカーブやスライダーを投げ分け左飛に打ち取ると、続く2人の打者から三振を奪いピンチをしのいだ。続く5回も二死3塁と得点圏に走者を背負うも、「ピンチのときこそ表情に出さないこと」と準決勝でつった両足に違和感もあったが、気迫のピッチングで得点を与えなかった。
無四球完封の市川晃大
エースの好投に打線が応えたのは6回。今大会屈指の柳ケ浦のWエース、中園大樹(3年)、上間永遠(3年)の継投の前に2安打と押さえ込まれていた打線は、1番の橋本和真(3年)の左前打でこの試合初めて無死で走者を出すと、犠打などで一死2、3塁とする。ここで4番の奥園がしっかり仕事をする。右翼方向に大きな犠飛を放ち、貴重な先制点をもたらした。
「腕を振って、狙ったところに投げられた」と決勝の舞台でも躍動する市川には、この1点で十分だった。最速135㌔のストレート、カーブ、スライダー、シュート、チェンジアップ、カットボールと、持ち球をフル稼働。中でも一番有効だったのはスライダーだった。微妙な変化でゴロや凡飛を打たせ続け、1失点で切り抜けた。投手に転向して1年。昨秋の支部大会ではベンチすら入れなかった選手を、「地肩が強かった」との理由で原監督が大抜擢。上手から横手投げに変え、さらにスリークオーターにたどり着き、球速が増してコントロールも良くなった。「監督には感謝の言葉しかない」と期待に応えた市川の投球で28年ぶりの夏の甲子園出場を決めた。
優勝の瞬間に喜びを爆発させた藤蔭
準決勝の記事はこちらから→https://os-oita.com/special/koushien/578.html?p=2