
珠玉の一枚 Vol.41 【大分県】
その他
県内で唯一、馬術部を有する三重総合。中学で国体に出場した野上真生(1年)が4月に入部し、部員は3人になった。団体戦にエントリーできる人数がようやくそろい、レベルも一気に上がった。全国高校総合体育大会(インターハイ)出場を目指していた矢先、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためインターハイ中止が決まり、落胆を隠せなかった。袋尻莉紗と松田亜純の3年生にとって最後の晴れ舞台が消えたが、「残念だけど仕方ない。次の大会に向けて自分ができることをしたい」と区切りの大会として県高校総体に臨む。
馬術の見どころについて「馬と人が一体となって競技する特殊なスポーツだが、(高さ1㍍程度の)障害を越える飛越競技は迫力があり、初めて見た人でも楽しめる」と説明してくれたのは三重町乗馬同好会の野仲美樹さん。三重総合の部員を指導し、自らも選手として国体に出場する。高校入学を機に馬術を始めた3年生は、野仲さんの指導の下で練習を積んだ。野仲さんが「馬術は馬の手入れが8割」と話すように、馬に乗って技術を磨くことも必要だが、厩舎の掃除から食事の管理、ブラッシングなど馬の世話が練習時間の大半を占める。
馬術は馬の手入れが8割
学校が休みの日は朝から厩舎に来て、馬を世話する。実際に乗馬するのは60分程度だが、帰宅するときは夕暮れ。「馬と触れ合い、コミュニケーションを取ることで分かり合えることは多い」と野上。同じ空間で同じ時間をどのくらい過ごしたかで“阿吽(あうん)の呼吸”が培われる。障害を飛び越えるときにタイミングが合わないこともあるが、馬が自主的に飛び越えることがある。「信頼関係があると馬が助けてくれる」(野仲さん)からだ。
馬の世話に明け暮れた3年間だったが、袋尻は「人に対しても思いやりを持って接することができるようになった」と話し、松田は「楽しい時間を馬と一緒に過ごせた」と振り返る。集大成の場となる県総体が終わっても、馬の世話は続けるつもりだ。これまて築いてきた馬との絆が、3年生にとってかけがえのない宝となった。
インターハイ出場はかなわなかったが県総体で優秀の美を飾る
(柚野真也)
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