全国高校サッカー選手権出場を決めた大分 どこからでも点が取れ、勝てる理由

2019/11/20
  • 冬の全国大会

 前評判通り大分が全国行きの切符を手にした全国高校サッカー選手権大会県予選。注目すべきは優勝に至るまでの試合内容である。3回戦までは力量差があり大味な展開になることは珍しくない。緩みからか準々決勝の大分上野丘戦では決定力に欠き、リズムに乗れずに1-0と苦戦した。しかし、そこから立て直してきた。セットプレーや強引なミドルシュートに頼らず、しっかりとパスで崩し切って得点につなげた。

 

 「正直、(選手間で)すごくコミュニケーションを取っているわけでもない。だけど、誰かがスペースを空けたら、必ず誰かがそこに入る。そういうプレーがうまくできているのかなと思う」

 MF菊地孔明(3年)が話すように、当の選手すら驚く会心のゴールが少なくない。チームの大半は大分中学で一緒にプレーしているため中高一貫の“6年間指導”の賜物である。

 

 とはいえ、中学時代で好成績を残したとしても、高校に上がって同じように成績を残せるわけではない。まして美しいゴールを量産できることは難しい。河井寛次郎部長は、「中学の財産で勝てるほど高校サッカーは甘くない。チーム内の競争も必要だし、スピードのある選手や体が強い選手、巧い選手が加わえることでワンランク上のチームをつくるイメージ」と話す。

 

 全国高校選手権県予選決勝を振り返ると、先制点を含む2得点を決めた大神颯汰(3年)と1得点2アシストの瀬藤聖人(3年)は高校からの“加入組”だ。まずは大神だが卓越したスピードと決定力を持つFWで、今大会は準決勝でも途中出場ながら2得点決めた“切り札”として活躍。瀬藤はボランチとして加わったが、豊富な運動量とキックの精度が認められサイドバックとして起用されることが多かった。夏前からチームの得点力向上を最優先し、菊地をウイングもしくはFW起用することになり、重見柾斗(3年)と永松恭聖(3年)と形成する大分の誇る中盤に配置された。「自分の役割は走ること」と理解し、順応したことで7得点を挙げ大会得点王となった。

 

個の力で局面打開する菊地孔明

 

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