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ヴェルスパ 戴冠の行方 一体感で引き寄せろ!

ヴェルスパ 戴冠の行方 一体感で引き寄せろ!

 クラブ初のリーグ制覇に向けてJ F Lのヴェルスパ大分が大一番に臨む。首位を独走する大分は勝てば優勝、引き分けか負けても2位、3位チームの結果次第でタイトルを手にする。キャプテンの瓜生昂勢は、「今季は連敗がなく、負けた試合の後に修正できた。優勝したときの景色を見たい。感情は伝染するので強い思いでピッチに立つ」と自らが勝利を呼び込む発信源として覚悟を示した。

 

 J F L9年目のチームは、これまで優勝争いとは無縁だった。今季は新型コロナウイルスの影響でリーグ戦の試合数が半減し、過密日程が強いられるなか、須藤茂光監督の「個々の成長なくしてチームは強くならない」との指針に沿って強化を進めた。チームのベースは、須藤監督が2年間で築き上げた「ボールを動かし主導権を握るサッカー」。今季も基本スタイルを変えず、新加入のDF浦島貴大やMF西埜植颯斗、MF金子雄祐、FW薮内健人らがすぐに戦術にフィットした。「既存の選手がベースとなり、新しい選手が理解を示してくれた」と須藤監督。

 

就任3年目でリーグ優勝に王手を懸けた須藤茂光監督

 

 選手を入れ替えても戦力は落ちず、対戦相手や戦況によって4バックと3バックのシステムを併用しても、柔軟に対応できるようになった。選手層が厚く、各選手のモチベーションの高さが今季の大分を支えてきた。ピッチの選手とベンチワークが一体となり、開幕5連勝で始まったシーズンも残り2試合。優勝に“あと1勝”と王手を懸ける。優勝の懸かった試合は互いに負けたくない思いが強く行き詰まった状況に陥りやすい。試合前々日の練習では念入りにセットプレーを確認したのは、そのためだ。得点源となるFW中村真人は「いつも通り体を張って、空回りしないように平常心でプレーしたい。チャンスは少ないと思うので確実に決めたい」と話す。

 

 ボールを動かし、ピッチの幅を使って揺さぶり、相手のほころびを作る。「これまでやってきたことを、どれだけ表現できるか」(須藤監督)が鍵を握りそうだ。そして、最後はやはりチームの総合力が問われるはずだ。前述したように、今季はバックアップから起用された選手が再三にわたって結果を出してきた。「みんな主体性があり、いい競争の中で出た人の活躍を見て、『自分もやってやろう』と言う気持ちになる」とは瓜生の今季のチーム評だ。

 

 高められた一体感。天皇杯もクラブ初の4回戦に進出。初めてづくしの今シーズン。大分は盤石の態勢で残り試合に挑む。

 

セットプレーを確認する選手たち

 

 

(柚野真也)