大分トリニータ 希望に満ちた旅立ち 梅崎司インタビュー 【大分県】
- 大分トリニータ
Q:チームメートは梅崎選手をピッチに立たせようと思い、戦っていましたね?
はい、十分に伝わりました。試合前のロッカールームで「これが俺のラストゲームになる。みんなで勝ちたい」と伝えました。2点を取り、最後に出番をつくってくれた。ベンチに入れてくれた監督にも感謝しています。75分過ぎた頃から僕のチャント(サポーターの応援コール)も聞こえましたが、あの時間からピッチに出ていたら最後までプレーできなかったかもしれませんね(笑)。
Q:そこまでけがの状態が酷かった?
走れる状態ではなかったです。ここ数年はけがが多く、選手を辞める覚悟というか、引退が隣り合わせでした。それは湘南時代からずっとです。自分がプレーできると思っていても、活躍していてもベテランはクビになることもある。そのような状況で毎年、毎日、毎試合、全力でやってきた自負がある。自分と向き合ってサッカーに取り組んできました。だから「俺はやり切った、十分やった」と思えました。
Q:プロキャリアをスタートした大分で現役を終えることができたことについては?
幸せです。その一言に尽きます。
Q:今後については?
指導者の勉強をしたいと思います。僕のサッカー人生は苦しいことの方が多かったけど、やっぱりサッカーが好き。これからもサッカーの現場にいたい。サッカー以外の仕事をしたことがないので分かりませんが、ここには日常では得られない喜びや感動がある。そこに行き着くまでは辛く、乗り越えなければいけないことがありますが、その期間があるからこそ喜び、感動が待っている。僕はそれをいっぱい経験し、教えてもらいました。だからこそ、多くの選手に伝えたいし、今後も違った立場で喜びや感動を味わいたいと思っています。
Q:選手として悔いなし、そんなすがすがしさを感じます。
大分に復帰して、これまでと異なるサッカーに触れ、プレーでも違った色を出せたと思っています。今季は苦しいシーズンでしたが、指導者となったときに役立つような経験ができたと思います。今は肩の荷が降りた。重いものを背負っていたのかな。気持ちが楽になりました。ただ、セレモニーで言い忘れたことがあって。「今度は監督として大分に戻ってくる!」とファン、サポーターに伝えたかった。それだけが心残りです。
仲間に胴上げされ、宙を舞った
(柚野真也)