大分トリニータ シーズン総括 一体感はあったが、もろさも表面化【大分県】

2023/11/23
  • 大分トリニータ

 今季は下平隆宏監督が2年目を迎え、トップダウンの指示から、スタッフ、選手と共にチームを創る「共創」宣言を掲げた。練習前に選手、練習後にスタッフが毎回発言する場を設けた。弓場は「何でも言いやすい雰囲気があり、まとまっていく感じがあった」と振り返る。選手の主体性を重んじたことで、一体感が生まれ、快進撃を巻き起こした。しかし、後半戦は対策を練られ、自分たちのスタイルであった「攻守の切り替えが速いサッカー」を出せない時期が続く。さらに下平監督の頭を悩ませたのは、けが人の続出だった。試合ごとにメンバーを変え、それに伴って戦術やシステム変更も余儀なくされる。ある主力選手は「システムが変わり、ハイプレスが希薄になった。重視するものが変わり、何を押し出せばいいのか正解が分からなくなった」と語る。西山GMも「選手に自由を与えていたので、もう少しやるべきことを整備してあげてもよかった」と反省点を挙げた。

 

 ラスト4試合はこれまで掲げた「共創」から、下平監督が狙いとする戦術、システムを押し出した「独創」にかじを振り切った。これが功を奏したのだから皮肉なものだ。キャプテンの梅崎司は「監督はこのサッカーをしたかったんだと思う。ラスト4試合で形にできただけに惜しかった」と悔やむ。来季は監督が代わり、現有戦力の維持が基本路線となる。限られた戦力で結果を求めながら、より育成に重きを置くことになるが、もろさを排除して高みを目指したい。

 

終盤戦で存在感を示した保田堅心

 

 

(柚野真也)

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