監督の哲学 「熱く冷静に、燃えながら冷静に」 東九州龍谷高校バレーボール部・相原昇監督 【大分県】

2023/05/13
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 高校バレーボールの指導者として東九州龍谷高校(東龍)を12度の日本一に導き、世代別日本代表の監督に就任し、アジア王者、世界一を経験した相原昇監督。2021年には女子日本代表のコーチとしての東京五輪に出場し、その後は再び、東龍監督として指導する。相原監督に話を聞いた。

 

Q:指導経験に基づいた指導論や教育論などをまとめた著書を3月に出版されました。このタイミングで出版に至った経緯は?

 自国開催のオリンピックを終え、指導者として多くの実績を積み、残りの指導者としての人生を考えた時に、もう一度、高校年代の「育成」をしたいと思いました。日本代表のコーチとして世界と戦い、これまで以上に個人能力で戦える選手を育てなければ世界のトップに立てないと感じたからです。これまでの実績を捨てて、全てをリセットし、東龍でゼロからスタートした時に、これまでの経験をアウトプットしたいと考えました。

 

Q:指導者としての変化はありますか?

 自分の思想やバレーボール観を可視化できるようになりました。日本代表はさまざまなチームから選手が集まります。それぞれの価値観があるので、チームとしてまとめるときは情報共有し、分かりやすくチームの方向性を伝えなければいけません。そのためにパワーポイント(発表資料作成ソフト)を使って可視化しました。東龍に戻ってからも選手と私の間では、スマホやグループラインを活用して課題を共有し、個々の課題を動画で切り取り、文字情報を添えています。今回の本も、そういう意味では私の考えをテキストにして可視化したものだと考えています。

 

Q:現在、バレーボール界では相次ぐ指導現場での体罰や暴力が問題となっています。この問題について、どのように感じていますか?

 怒声と鉄拳で育った指導者は同じ方法で選手を扱おうとしますが、今はそれでは通用しません。今の時代は選手へのリスペクトがなければいけません。子どもたちの意見を尊重することも必要だし、自分を貫く部分を融合しなければいけない。「ちょうど良い」指導ができる人が求められていると思います。

 

高校年代の「育成」を強化したいと語る相原昇監督

 

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