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バサジィ大分 前半戦総括 攻撃的な守備を武器に5連勝の先へ突き進む 【大分県】

バサジィ大分 前半戦総括 攻撃的な守備を武器に5連勝の先へ突き進む 【大分県】

 約1カ月の中断期間を前に、バサジィ大分は6勝1分3敗、勝点19の4位。優勝争いを見据えられる位置につけた。それでも金井一哉監督の口から出たのは「満足できる勝利はあまりない」という言葉だった。

 就任1年目。金井監督は前体制の土台を壊さなかった。一気に自分の色へ塗り替えるのではなく、選手が持つ技術や戦術理解を生かしながら、一つ一つのプレーの精度を高めてきた。その上で最初に植え付けたのが「攻撃的な守備」である。

 相手のミスを待つのではなく、自ら奪いにいく。抜かれることを恐れて一歩を止めるより、勇気を持って前へ出る。仮に一人がかわされても、次の選手がカバーする。金井監督がスペインで学んだ考え方を落とし込み、守備から試合を動かそうとしてきた。

金井監督の色が徐々にチームに浸透してきた

 その成果は数字にも表れている。前線から圧力をかけ、高い位置でボールを奪って一気にゴールへ向かう形が得点につながった。誰かが仕掛ければ、周囲がその決断に反応する。個人の勇気をチーム全体で支える守備が武器になりつつある。

 ただ、3敗はいずれも上位3チームとの対戦だった。金井監督がそこで感じた差は、組織力以上に「個のクオリティー」だった。単純な技術だけではない。いつ仕掛け、いつパスを出し、覚えた戦術をどの場面で使うのか。瞬間的な判断の質まで含めた「個」の差だった。

 そして10試合を終えたからこそ、次の課題が攻撃であることが明確になった。高い位置で奪ってそのまま仕留める形は増えたが、自陣や中盤で奪ってから複数人でゴールへ運ぶカウンター、セットプレーからの得点がともに少ない。相手が守備を固めた時に、どう崩すかという課題も残った。

前半戦は攻撃的な守備を構築した

 そこで中断期間はボールを奪った後の速攻、セットプレー、相手を押し込んでからの攻撃に時間を割いている。ただし、新しい武器を増やすことだけが目的ではない。新たな戦術に時間をかけ過ぎれば、これまで磨いた守備が薄れる可能性もある。

 「何かを選ぶということは、何かを捨てること」。金井監督が選手に繰り返す言葉は、自らのチームづくりにも向けられている。すぐに完成を求めず、全体を少しずつ伸ばす。5連勝の勢いに任せて走るのではなく、勝っている今だからこそ足元を見直す時間にする。

 その根底にあるのは「勝利への欲」だ。五つ勝ったから満足するのではなく、次の1勝を欲しがる。1点取ったら、さらにもう1点を求める。金井監督は「勝つことに飢えなければ、強いチームにはなれない」と言う。

 守備からつくった土台に、攻撃の選択肢を重ねる。中断明けに見たいのは、5連勝の続きをなぞるチームの姿ではない。自ら奪い、自ら仕掛け、自ら試合を動かす。10試合で見えた収穫と課題を力に変えた一段進化した姿だ。 (柚野真也)