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7人制ラグビー日本代表 ストイックにパリ五輪を目指す薬師寺晃(大分舞鶴高校出身) 【大分県】

7人制ラグビー日本代表 ストイックにパリ五輪を目指す薬師寺晃(大分舞鶴高校出身) 【大分県】

 目標が明確になった。来年のパリ五輪出場を目指す7人制ラグビーの日本代表の主力として注目が集まる薬師寺晃(横浜キヤノンイーグルス・大分舞鶴高卒)は、今年11月のアジア予選に向けて「万全な状態で最高の結果を求めたい」と休養期間を設けず、ストイックに練習を続けている。

 

 日本最高峰のラグビーリーグ「リーグワン」に参戦する横浜キヤノンイーグルスの一員として3シーズンを過ごした。薬師寺のポジションとなるウイング(WTB)は味方のキックやパスをトライにつなげる役割を担う。このポジションは助っ人となる外国籍選手が配置されることが多く、これまでリーグ戦の出場はない。それでも初速のスピードとステップワークが評価され、昨年の秋頃から7人制の日本代表に招集されることが増え、海外遠征やワールドシリーズなどで経験を積んだ。

 

 これまで、7人制とは無縁だったわけではない。中学3年で、日本ラグビー協会主催のタレント育成事業として、全国から7人制の素質がある選手を集めた合宿に呼ばれるようになり、「日本代表」を意識するようになった。高校、大学は15人制に力を注いだが、プロになってから、「パリ五輪に出場したい」「世界を相手にどれだけ自分が通用するか試したかった」と7人制への思いが強くなった。

 「(15人制との)常識が全然違う」と最初は戸惑いばかりだった。キックよりパスが多く、前を向いたときの視野が全然違う。スペースがあるようで、ない。日本代表の強化合宿に呼ばれるたびに、何もできずに落ち込むことが多かったようだが、ストイックな男は動画や本などあらゆる知識を埋め込み、イメージを膨らませるなど「猛勉強した」。「成功に近道はない」を地で行く薬師寺はトライ&エラーを繰り返すことで徐々に感覚をつかめるようになり、視界がクリアになった。「努力なんて思ったことがない。目の前の壁を乗り越えるために、当たり前のことをしたまで」

 

 昨年は7人制の日本代表のコアメンバーとして世界を転戦した。ポイントゲッターとしてラインブレイクから独走してトライを決める場面が増えた。多少のけがはあったがほぼ1シーズンを通してプレーでき、結果を残したことで「戦える手応え」を十分得た。日本代表で欠かせない存在となったが、「極度のマイナス思考な男」でもある薬師寺に慢心はない。「不意のけがは避けられないが、筋肉系のけがなど、十分なケアや食事などで回避できることはある。常に最善の準備をして備えたい」と、ストイックな生活はパリ五輪出場が決まるまで続く。今の目標は「オリンピックで活躍すること。その後は見えていない」。愚直な男は真っすぐ、突き進む。

 

 

パリ五輪を目指す薬師寺晃

 

 

(柚野真也)

大会結果