決戦前夜 それぞれの思い ウインターカップ県予選 女子決勝 【大分県】
バスケ
第79回全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)県予選
10月31日 クラサス武道スポーツセンター
女子決勝
大分70(12―20、20―19、19―10、19―13)62
2年連続で同じ顔合わせとなった女子決勝。大分は宿敵・明豊に70―62で逆転勝利を収め、4年ぶりの全国大会出場を決めた。序盤から主導権を握られながらも、慌てず、焦らず、勝機を待った。永原拓海コーチが描いた後半勝負のシナリオを選手たちが見事に遂行した。
立ち上がり、先手を取ったのは大分だった。阿部菜月(3年)が先制点を奪い、攻撃の口火を切る。「いつも試合の入りでやられて、その点差を最後まで縮められなかった。今日は絶対に自分が爆発してやろうと思った」。その気迫とは裏腹に試合は明豊のペースで進む。第1クオーター(Q)を12-20で終え、第2Qも追いかける展開が続いた。
それでも大分に焦りはなかった。永原コーチは前半から登録15人全員を起用。主力の消耗を抑えながら、後半に勝負を懸ける布石を打っていた。「誰が出ても変わらないのがうちの強み。前半は苦しくなると想定していた」。選手たちにも前半で全員を起用する方針を伝え、準備を徹底させていた。

最初の転機は第2Q終盤に訪れる。大分はオールコートゾーンプレスを仕掛け、明豊の攻撃のリズムを崩した。狙いは単なるボール奪取ではない。相手に攻撃を急がせ、シュートを落とさせてリバウンドを確保し、速攻につなげることだった。守備から攻撃のテンポを引き上げる戦術が機能し、連続得点で32―39。7点差まで詰めて前半を終えた。
「前半を1桁差で終えられれば、十分に戦える」。試合前に共有していた目安をクリアした。永原コーチはハーフタイムで「自分たちのバスケットを最後までやり切ろう」と改めて強調。ボール運びだけでなく、ハーフコートに入ってからの攻撃の組み立てを修正した。接触を嫌がらず、シュートにつながる位置でパスを受ける。消極的になっていた選手たちに攻める意識を取り戻させた。
第3Qは修正が一気に実を結ぶ。厳しい守備から速攻を繰り出し、明豊の得点を抑えながら逆転に成功。前半に温存した体力も生き、攻守の強度が増した。第3Qを19―10と圧倒し、51―49で最終Qへ。第4Qも点差を広げ、主導権を渡さなかった。

攻撃面でも県高校総体からの進化が際立った。当時は1年生の前田さくらにボール運びから得点までを依存し、明豊の守備に苦しんだ。その反省から攻撃パターンを増やし、複数の選手が得点に絡む形を構築。前田にすべてを背負わせず、勝負どころでは再びボールを託す。「最後はお前の強みを出して、リングにアタックしてこい」。永原コーチの言葉に応え、夏以降に自分の持ち味を見失っていた前田も積極性を取り戻した。
もう一つの勝因は、明豊の強みであるリバウンドとルーズボールで互角に渡り合ったことだ。高さのある選手だけでなく、ガード陣も積極的にボールへ絡み、攻撃機会をつくり出した。さらにベンチからは3年生を中心に前向きな声が飛び続けた。チームが掲げる「グッドエナジー」が苦しい時間帯を支える力となった。
前半は全員で耐え、後半は全員で攻める。15人を使い切る選手起用、守備の切り替え、前田への依存からの脱却。勝利は一つの劇的なプレーではなく、積み重ねた準備と的確な修正によってもたらされた。大分が示したのは個の力だけに頼らず、チーム全体で勝負を動かす強さだった。 (柚野真也)
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