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グッドルーザー バレーボール 楊志館 「お祭りバレー」が残した確かな足跡 【大分県】

グッドルーザー バレーボール 楊志館 「お祭りバレー」が残した確かな足跡 【大分県】

第79回全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)大分県代表決定戦
10月25日 大分南高校体育館
準決勝
楊志館0(15―25、17―25)2大分工業

 勝者がいれば必ず敗者がいる。だが敗れたからこそ見える景色があり、悔しさの中でしか得られない強さがある。仲間と積み重ねた日々、最後まで貫いた信念、そして後輩へ託す思い。勝敗だけでは語り尽くせない青春の物語がある。敗れてなお輝きを放つ者たち。「グッドルーザー」の言葉に耳を傾ける。

 最後は力の差を見せつけられた。春の高校バレー県予選の男子準決勝。楊志館は大分工業にストレート負け。初の決勝進出はならなかった。それでも、この敗戦だけで彼らの挑戦を語ることはできない。シード校の竹田に勝利し、つかんだベスト4。そこには、限られた環境の中で努力を重ねてきた選手たちの成長と来年への確かな希望があった。

 楊志館のモットーは「お祭りバレー」。コートの中も外も声を出し、全員で盛り上がり、バレーボールを楽しむ。キャプテンの小野誠矢(3年)は「みんなで盛り上がって、楽しみながらプレーした」と語る。その言葉通り、準々決勝の竹田戦では持ち前の明るさと勢いを武器にシード校を撃破した。

 勝負どころで存在感を示したのが小野だった。大事な場面でトスが上がれば、迷わず腕を振り抜く。「キャプテンとして自分が決めきらないといけないと思っていた」。3年生の意地を乗せたスパイクがチームを鼓舞した。

準々決勝で勝利し、歓喜であふれた

 ただ、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。小野は「3年間、なかなか結果が出なかった」と振り返る。キャプテンとしての指示が思うように伝わらず、落ち込むこともあった。そんなときに背中を押してくれたのは仲間だった。「自分が落ち込んでいるときも、みんなが『頑張ろう』と盛り上げてくれた。仲間のおかげで頑張れた」。誰かが沈めば、誰かが声を上げる。そんな関係性こそが楊志館の強さだった。

 上村忠史監督が率いるチームには強豪校とは異なる育成の物語がある。特待生制度はなく、経験者ばかりが集まるわけでもない。レギュラーには高校からバレーを始めた選手が2人いる。宮島瑠希(3年)は2年生になって競技を始め、わずか3カ月ほど前にレギュラーへ昇格。大野青龍(2年)は高校から競技を始めながら、今では2年生エースに成長した。

 「いつも入学してきた選手たちで勝負するしかない」。指導歴20年数年の上村監督は、そう言って笑う。練習環境も恵まれているとは言い難い。「うちの体育館は日本一狭いんじゃないかと思うくらい」。だからこそ練習試合や合宿を繰り返し、強豪校に胸を借りてきた。「相手をしてくださったチームに感謝している」。その言葉には地道な積み重ねが実を結んだ喜びがにじむ。

4強入りの立役者となった小野

 今回の4強入りは一つの到達点であると同時に、新たな挑戦の始まりでもある。レギュラーのうち3年生は3人だけ。次期エースやセッター、リベロなど主力の多くが残る。ビーチバレーにも取り組み、インドアとの二刀流で経験を積む選手もいる。伸びしろは十分だ。

 上村監督が次に見据えるのは、まだ果たせていない九州大会出場である。「今度は狙われる立場になる。プレッシャーの中で、どれだけ自分に勝てるか」。追う側から追われる側へ。4強という結果は選手たちに自信と新たな試練をもたらした。

 3年生が後輩に残したものは、順位だけではない。小野は「先輩たちが頑張ってきた背中を最後まで見せることができた」と語っていた。その思いは準決勝の敗戦を経て、次の世代へと引き継がれる。大分工業の壁は厚かった。だが敗れたからこそ見えた景色もある。特別な才能がなくても、恵まれた環境でなくても、仲間と努力を重ねれば強くなれる。楊志館のベスト4は、その可能性を証明した。お祭りは終わった。しかし、彼らが灯した熱は次の世代へと確かにつながっている。


(柚野真也)

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