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譲れない頂点、譲れない夢 春高バレー県予選特集(女子) 臼杵 大胆な戦術改革で王者に挑む 【大分県】

譲れない頂点、譲れない夢 春高バレー県予選特集(女子) 臼杵 大胆な戦術改革で王者に挑む 【大分県】

 今週末、全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)の県予選が幕を開ける。女子は全国高校総体準優勝、国民スポーツ大会3位の東九州龍谷が絶対王者として君臨。春高予選26連覇という圧倒的な実績を誇り、四半世紀以上にわたって頂点を譲っていない。その牙城を崩すチームは現れるのか。打倒・東龍を掲げる大分商業、国東、臼杵の注目3校に迫る。第1回は攻守の強化と大胆な戦術改革を進めてきた臼杵。

 普通に戦って勝てる相手ではない。だからこそ、常識にとらわれない挑戦が必要になる。春高バレー県予選で26連覇中の東九州龍谷(東龍)。その絶対王者の牙城を崩すべく、臼杵の佐藤優介監督は攻守両面の改革を進めてきた。緻密な戦術と大胆な布陣変更。勝利への道筋を描きながら、挑戦者としての可能性を追い求めている。

 夏場に重点を置いたのは、守備力の向上と攻撃の強化だ。「春高県予選で勝負するためには攻撃力がなければ話にならない」と佐藤監督。特にブロックは基本動作から徹底的に見直した。構えからジャンプまでの無駄を削ぎ落とし、最短、最速でブロックの形を完成させる。相手のトスを見て反応するリードブロックにも磨きをかけた。さらに練習には身体能力を高めるトレーニングを組み込み、ジャンプ力やスピードの向上にも取り組んだ。

練習の1時間弱を体感や自重トレーニングに費やす

 その背景には、指導者としての大きな夢がある。かつて県体育保健課に勤務し、オリンピアンや日本代表監督らと接する中で、佐藤監督の指導観は変わった。「笑われるかもしれないが、私の夢はオリンピックや日本代表で活躍する選手を育てること。高校時代には無理でも、卒業後に日の丸を背負うような選手に成長してくれたら」。その思いは選手たちにも伝えている。以前、国東で指導した際には3年間でジャンプ力が15センチ伸びた選手もいた。身体能力の向上は、ブロックの安定や空中動作の改善、スピードアップにつながる。目先の勝利だけでなく、選手の将来を見据えた体づくり。それが佐藤監督の指導の根幹にある。

 ただ東龍を倒すには、それだけでは足りない。全国高校総体準優勝、国民スポーツ大会3位の強豪に対し、佐藤監督は「自分たちの力を全部出し切れば勝てるという相手ではない」と冷静に分析する。そこで描く攻略法が、サーブとブロックを連動させた戦術だ。強いサーブで相手のレシーブを崩し、攻撃の選択肢を限定する。高いトスからの攻撃をブロックでワンタッチし、切り返しから得点につなげる。相手の攻撃力を正面から受け止めるのではなく、自分たちが主導権を握る展開をつくり出す狙いがある。

 勝負の分岐点は序盤にある。「最初の8点ぐらいまでにリードするか、少なくとも互角に持ち込みたい。東龍の選手たちに『あれ、いつもと違うぞ』と思わせないと」。先行逃げ切りを得意とする王者に対し、立ち上がりから揺さぶりをかける。そのためにはサーブミスを減らしながら、果敢に攻める勇気が欠かせない。

勝ち進めば準決勝で東龍との対戦が見えてくる

 攻撃陣にも変化が生まれている。キャプテンの児玉紗弥(3年)は配置転向で調子は上向き。真名井暖(同)は守備力と安定感を買われてリベロを経験し、状況に応じてスパイカーを担う可能性もある。1年生スパイカーの成長も布陣の選択肢を広げた。中でも注目は左利きの矢野夏希だ。巧みなコースの打ち分けに加え、力強さも増している。佐藤監督は「技術だけでなく、パワーもついてきた。左利きが一人いるだけで攻撃の幅は全然違う」と期待を寄せる。

 大会直前にはセッターが負傷するアクシデントに見舞われた。それでも佐藤監督は逆境を新たな可能性に変えようとしている。急きょ練習を始めたのが、常に3枚の攻撃を可能にするツーセッターだ。実戦経験が乏しく、採用するかどうかも未定。「ほぼぶっつけ本番になる怖さはある」と不安を隠さない。それでも、王者を攻略するための選択肢を増やすことに意味がある。

 「自分ではそんなに勝負師だと思っていない。でも、バレーボールには面白さも大事。見ている人が『おっ』と思うようなことがあってもいい」。佐藤監督の言葉には、強敵との対戦を前にした緊張感と未知の可能性を探る楽しさが同居する。目指すのは目の前の一勝だけではない。選手の未来を育みながら、今できる最大限の挑戦をする。緻密な準備と大胆な発想を武器に絶対王者に挑む。 (柚野真也)


大会結果

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