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バレーボール女子日本代表登録メンバー初選出 忠願寺莉桜(東九州龍谷3年) 逸材は止まらず世界基準へ 【大分県】

バレーボール女子日本代表登録メンバー初選出 忠願寺莉桜(東九州龍谷3年) 逸材は止まらず世界基準へ 【大分県】

 183センチの長身から放たれる左腕の一撃は、世代屈指の破壊力を誇る。東九州龍谷の忠願寺莉桜(3年)は、ただ点を取るだけのエースではない。勝負どころで流れを引き寄せる強さを持ち、後衛に下がればバックアタックでも得点を奪う。レシーブもトスもこなし、チームの呼吸を乱さない。高校生ながら女子日本代表登録メンバー37人に名を連ねたのは、その総合力と将来性が高く評価されたからに他ならない。

 だが、代表入りという大きなニュースの直後も本人に浮ついた様子はない。全九州バレーボール総合選手権県予選女子決勝。東九州龍谷は大分商業を2―0で下し、優勝した。第2セット序盤には点差を広げられる苦しい時間もあったが、忠願寺は試合後、そこを冷静に振り返った。「ひっくり返して、自分たちのバレーで勝ち切れたのはよかった」。言葉にあるのは達成感よりも確認である。勝ったこと以上に、自分たちの形で勝ち切れたかを重んじていた。

 新チームではキャプテンも務める。強烈な得点力を持つ選手がキャプテンとなれば、自ら引っ張る色を強めても不思議ではない。だが忠願寺が繰り返すのは「全員バレー」という言葉だ。「自分一人じゃ勝てないし、みんな力がある」。その感覚があるからこそ、忠願寺はチームの中心にいながら中心であることに酔わない。日本一を目指すうえで必要なのは、自分が決めることだけではなく、全員の力を最大化することだと知っているのである。

高さと威力が増したスパイク

 日本代表についての捉え方にも、その成熟した姿勢は表れている。日の丸への憧れはあっても「ここがゴールではなく、ここからがスタート」と言い切る。日本代表は称号ではない。プレーだけでなく、私生活や普段の姿勢も含めてふさわしさを問われる場所であると受け止めている。華やかな肩書に心を奪われず「うまい選手のプレーを盗みたい」「とにかく吸収したい」と語る姿勢は、いかにも忠願寺らしい。

 その成長は、数字や経歴だけでは測れない。本人は「以前より(競技に対する)意識が高くなり、努力を継続できるようになった」と話す。プレー面では助走スピードが上がり、打点も高くなった。竹内誠二監督も「パワーはついてきている」と認める一方で、「これからは精神面も含めて、さらに成長していかないといけない」と見る。特別なトレーニングではなく、体の成長と日々の積み重ね。その地道さこそが逸材を本物へと近づけている。

女子日本代表登録メンバーに選ばれた忠願寺

 今月末には代表合宿を控える。試したいのは自らの武器であるスパイクのコース幅、とりわけ得意のインナースパイクが世界基準で通用するかどうかだ。全九州バレーボール総合選手権県予選の応援に駆けつけていた2歳上の姉で、SVリーグ・Astemoリヴァーレ茨城で活躍する風来は「レセプションができるようになり、どんどん成長している」と目を細めた。身近な存在から見ても、その進歩は明らかなのである。

 忠願寺の視線は、代表の先にあるオリンピックだけを見ているわけではない。まずは東九州龍谷で日本一をつかむこと。その強い焦点があるからこそ代表活動で得る経験もまた、忠願寺の中で確かな意味を持つ。自分が成長することがチームの成長につながる。そう信じて進む左腕のエースは、いま確かに世界への入口に立っている。高校最後の1年、その歩みはチームの未来であり、日本女子バレーの未来でもある。


(柚野真也)

大会結果