
サッカーU―17日本代表 代表の誇りを胸に、平野稜太が世界へ挑む 【大分県】
サッカー
競技人生におけるターニングポイントに焦点を当てた新連載がスタート。
第1回は20歳ながら国際大会の出場経験豊富な坂井大将。
大分トリニータからベルギー2部リーグへの移籍が決まった稀代のゲームメーカーが
新天地での意気込みを語った。
自身の成長を求め、新天地ベルギーに旅立った坂井大将。20歳のフットボーラーは、小学校卒業と同時に長崎の親元を離れ、大分トリニータアカデミーに入団するために越境入学した。「あの時は右も左も分からず、友だちもいない大分に来た」と振り返る。今回の移籍は「小学生のとき以来の決断」だったようだ。
8月3日、大分トリニータから「坂井大将、ベルギー2部のAFC Tubize(テュビズ)へ1年間の期限付き移籍」の一報が流れた。その3日後に大分フットボールクラブ本社の記者会見場で、榎徹社長は「人生のなかで大きな決断を迫られるときがある。より厳しい方、より難しい方の決断をしたことになるが、彼にはひと回りもふた回りも大きくなって大分に帰ってきて、我々に力を貸してくれることを期待している」と快く送り出した。
そして、これに応えるように坂井は、「心技体たくましくなって、僕がトリニータに帰って来た時にJ1で輝き続けるチームにできるように成長したい。失うものは何もないので精一杯頑張りたい」と決意を語った。
テュビズが坂井を追いかけ始めたのは、昨年10月のU‐19アジア選手権から。この大会でキャプテンとしてチームの中心となり優勝に貢献し、今年5〜6月のU‐20ワールドカップで好プレーを披露した逸材の獲得に迷いはなかった。
西山哲平強化育成部長は「今回の移籍は坂井自身が勝ち取ったものだ」と話し、「クラブとして坂井を今度どうやって育成しようかと考えたときに、2020年東京オリンピックに大分トリニータの代表としてプレーしてもらいたいと逆算した。彼のサッカー人生において、どの決断が有益かを考えたときに本人の強い意志を尊重した」と移籍の経緯を説明した。
坂井にとって初めての移籍。しかも言葉も文化も異なるチームに“助っ人”として招かれたわけだ。当然、レギュラーの座をつかめるかはアピール次第。すでに坂井が戦うベルギー2部リーグは開幕しており、チームが出来上がっている。監督の信頼を得て、ピッチに立つのは容易ではない。「167㌢」というサイズを懸念する声をあったようだが、坂井にはそれを補って余りあるゲームメークセンスと卓越した技術がある。パスを出したらリターンをもらいに動き、この基本の積み重ねで攻撃を構成し、試合の間もつくる。この献身性が評価を高めたようだ。
坂井自身が掲げる当面の目標は、やはり定位置奪取だ。坂井は会見の場でこう決意表明した。
「国外でプレーできるチャンスは多くはないし、海外で暮らす経験も人生においてなかなかない。選手として人間としてたくましくなり、ベルギーで結果を残したいと思っている。東京オリンピックの後も代表で活躍したい」
大分から1年の期限付き移籍で契約を結んでおり、その後のオプションは提示されていない。1年で結果を残さなければ次はない。いばらの道を選んだが、外に飛び出したことで秘めた才能を爆発させ、ターニングポイントになったと言える日がくるはずだ。
(柚野真也)
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