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大分トリニータ ベテランと呼ぶには早い 町田也真人の覚悟とは 【大分県】

大分トリニータ ベテランと呼ぶには早い 町田也真人の覚悟とは 【大分県】

 まだまだ猛暑が続くが、練習場でピステ(防寒着)を着てプレーする町田也真人の姿を目にする。気温の高い夏場の試合に出ていなかった町田は「暑さに少しでも慣れるための自分なりに暑さ対策」とサラリと答えた。今季の町田はけがや体調不良の連続で苦しんだ。チーム立ち上げのキャンプで出遅れ、その後も復帰しては、ケガで離脱することを繰り返した。ようやく8月に完全復活し、コンディションもピークに達しつつあるのは、小さな努力の積み重ねである。

 

 前節の長崎戦は2点ビハインドの後半23分にピッチに立った。その2分後に野嶽惇也のアシストをお膳立てし、同34分の同点ゴールの起点となった。いずれも得点、アシストの記録はつかなかったが、味方の持ち味を引き出す役割を果たした。流動的にポジションを変えて前線とのつなぎ役をこなしつつ、サイドにも流れて攻撃を操る。「自分の持ち味は、誰とでも(プレーを)合わせられること。試合に出たら攻撃を組み立て、ゴールにも絡みたい」という宣言どおりのパフォーマンスで全得点に絡んだ。

 

居残り練習に励む町田也真人

 

 166cm、55kg、小柄な町田は圧倒的なテクニックやスピードの持ち主ではない。かといって、単に「クレバー(賢い)なプレーヤー」という言葉だけで言い表すことはできない。試合展開を予測して、常に必要なポジションに身を置いてプレーする。事前にポジションを取っているから、全力疾走したときより正確にボールを扱うことができるし、余裕を持って周囲を見つつプレーすることができる。だからこそ、「絶対に決めなければいけなかった」と長崎戦での決定機でシュートを外したことを悔やむ。

 

 33歳の町田は常に「引退」という二文字と戦っている。「存在感を示さなければいけない」と語るのは、結果が全てのプロの世界で12年もの間、自分の居場所を勝ち取ってきたからだ。そして、町田は「自分はベテランではない」ともいう。ベテランかどうかは年齢で決まるものではなく、優れた経験を重ねて、熟達した技量、見識を持っているのが、その道のベテランと呼べるのだと知っているからだ。

 1歳上の長沢駿、3歳上の梅崎司も今季、けがで苦しんだ。リハビリ中に「残り試合で存在感を出せるように頑張ろう」と励まし合った。残り10試合を切り、3人の名前がメンバー表に並ぶようになった。長沢は2試合連続得点し、町田は「次は俺の番だ」と活躍を誓った。「ベテラン予備軍」がチームに新しい風を呼び込もうとしている。

 

「残り試合で存在感を示したい」と語った

 

 

(柚野真也)