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ヴェルスパ大分 守備再構築でつかんだ天皇杯切符 【大分県】

ヴェルスパ大分 守備再構築でつかんだ天皇杯切符 【大分県】

 天皇杯第106回全日本選手権県代表決定戦を兼ねた県選手権決勝で、ヴェルスパ大分がジェイリースFCを3―0で下し、2年連続15回目の本大会出場を決めた。天皇杯はヴェルスパにとって単なる公式戦ではない。「大分で一番」を証明し、全国へ挑む権利をつかむ舞台である。その意味で、同じJFLに所属するジェイリースFCとの県代表決定戦は、負けられない一戦だった。

 前半はヴェルスパがボールを動かしながら主導権を握ったが、ゴールは遠かった。0―0の時間が長く続く展開は想定内。田中博監督は「自分たちが何をやるかが整理されていた」と振り返る。JFLカップの4月の3試合11失点を喫した苦い経験が、かえってチームに冷静さを与えていた。

球際の攻防で上回った

 勝負を動かしたのは後半の一手だった。田中監督はハーフタイムに2枚替えを敢行。前半はボールを動かして相手を走らせ、後半にもう一段ギアを上げる。狙いは明確だった。後半10分、金崎夢生がPKを冷静に決めて先制。ここで守りに入らなかったことが、この日のヴェルスパの強さだった。追加点は同17分。右からのクロスに長江皓亮がダイレクトで合わせた。慣れない左サイドバックでの起用だったが、長江には「(ボールが)来るな」という予感があったという。ふかさず、落ち着いて流し込んだ一撃は試合の流れを決定的に引き寄せた。

 もともと長江の起用には守備的な狙いがあった。相手のキープレーヤーを抑え、必要に応じて3バックにも変化できる布陣。田中監督は、センターバックの選手にもサイドバックを経験させ、複数ポジションに対応できる準備を進めてきた。その積み重ねが大一番で形になった。長江も「任された役割をしっかりやろうと思っていた」と語る。初めてのポジションで課題はありながらも、守備で相手を封じ、攻撃では貴重な追加点を奪った。まさにチームの狙いと個人の集中力が重なったゴールだった。

 さらに後半24分には布方叶夢が3点目を奪い、勝負を決めた。先制後に受け身となり、失点を重ねてきた過去の反省をチームはこの試合で乗り越えた。長江は「今年はなかなか無失点で終われる試合が少なかった。最後は全員で体を張って守れた」と胸を張る。攻撃陣の得点だけでなく、無失点で終えたことにも大きな価値があった。

大分県代表として天皇杯出場を決めた

 天皇杯は、チームの力を測る物差しでもある。JFLとは違う空気、増える注目、アカデミーの子どもたちの声援。田中監督は「(天皇杯本大会に出場することは)見られている数が多い試合だと選手に伝えた」と明かす。本大会では上のJリーグクラブとの対戦も待つ。長江には前所属のソニー仙台時代に川崎フロンターレと戦った記憶がある。「自分の武器がどこまで通用するのか、またチャレンジしたい」。その言葉には、天皇杯を勝ち上がる意味が凝縮されている。

 大分で一番をつかみ、全国へ進む。苦い失点の記憶を糧に采配と準備、そして選手の覚悟がかみ合った90分だった。ヴェルスパはこの勝利をリーグ戦最終戦、そして次なる挑戦へつなげていく。


(柚野真也)

大会結果