春の高校バレーレポート  東龍バレーを刻む

2019/01/16
  • 冬の全国大会

3年生の力を集結した決勝

 

 劇的な勝利から一夜明け、2年連続同じカードとなった金蘭会との決勝。「昨年の先輩のリベンジを果たす。勝っても負けても今日で最後。最高のバレーをしたい」(園田)とコートに立った。試合は序盤から劣勢が続いた。1年生エースの室岡莉乃の渾身(こんしん)のスパイクがブロックされ、相手の高さとパワーに圧倒され7連続得点を許す。本来の粘り強くつなぐ守備は影を潜め、相手の猛攻を受けた。

 

 これまでならば相手に力負けして、第2セット以降もずるずると失点を重ねていただろう。それを救ったのが3年生だった。園田の速いパスワークに呼応し、平山がコースを使い分け、梅津の強打、合屋の硬軟織り交ぜた攻撃でリズムをつかんでいく。攻撃が活性化すると守備も機能し、相手がうんざりするほど攻撃をはね返し粘った。得点を重ねて第2セットに競り勝つと、がっぷり四つに組み合い、それぞれセットを奪い最終の5セットまでもつれ込んだ。

 

 相原監督は「準決勝も決勝も勝つなら3-2しかないと思っていた」と準決勝の再現を狙った。「このままでいいのか。ここからが勝負だぞ。最後なんだからやり切って終われ」とコートに送り出す。指揮官の思い、最後の大会となる3年生の思いを背に躍動するが、あと一歩及ばなかった。格上相手に連日のフルセット、心身ともに限界だったことは間違いない。きびきびとした攻防が緩むことなく続き、狙いの接戦に持ち込んだものの、最後は相手の高さとパワーに屈した。

 

 今大会で見せた東龍のバレーボールは賞賛に値する。体格や身体能力で強豪校に劣る東龍は、多彩な攻撃や速いテンポのトスで得点力を上げた。サーブレシーブをはじめとした守備を徹底的に見直し、超低姿勢のレシーブスタイルでコートすれすれで相手の強打を拾う。そして隙を与えず、隙を突いていくしたたかな戦い方は実に頼もしかった。

 「長いラリーを制し、魂のあるバレーを見せることができた。準優勝で終わったが、これまでインターハイ、国体で3位だったチームの最高記録が出た」と総括した相原監督の表情は誇らしく、全てを出し切った達成感があった。そして、選手は試合後こそ大粒の涙を流したが、「部員24人の力があってここまでくることができた。悔いはない」(平山)、「3年間の思いを全て出せた」(合屋)と笑顔を見せた。今大会の5試合で彼女らが歩んできた道筋の正しさと、可能性の高さを見せてくれた。

 

試合後、平山詩嫣は一人ひとりに感謝の言葉を掛けた

 

(柚野真也)

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