春の高校バレーレポート  東龍バレーを刻む

2019/01/16
  • 冬の全国大会

 日本一を目指し全日本高校バレーボール選手権大会(春の高校バレー)に出場した東九州龍谷(東龍)。準々決勝まで危なげなく勝ち上がり、準決勝で優勝候補筆頭の下北沢成徳(東京)に逆転勝利する。決勝では連覇を狙う金蘭会(大阪)にフルセットの末に敗れたが、東龍の名を全国に印象付けた大会であった。

 

粘り強くつなぐバレーで逆転勝利

 

 2回戦から登場した第3シードの東龍は青森西(青森)、3回戦で金沢商業(石川)に順当勝ちし、準々決勝でも京都橘にストレートで勝利。今大会の最大のヤマ場、高校3冠(全国高校総体、国体、春の高校バレー)を目指す下北沢成徳との対戦を迎えた。

 

 試合前日の夕食後にキャプテンの平山詩嫣(3年)が声を掛けて選手だけのミーティングを開いた。「3年生にとって最後の大会となるが、1、2年生の力を貸してほしい。最後まで諦めない東龍のバレーをしよう」と呼び掛けた。この言葉に全員が奮い立ち、試合に臨んだ。「試合前から勝てると思っていた。負ける気はしなかった」と梅津憂理(3年)、「自分たちの最高を出せば勝てると思えた」と園田風音(3年)が話したように、1セット目から持ち味の粘り強いレシーブと高速コンビバレーは全開だった。レシーブからスパイクにつなぐ園田のトスワークも冴える。コートを横幅いっぱいに使い、相手のブロックを剝がし、得点を重ねた。

 

 1セット目を先制し優位に試合を進めたかったが、そこは3冠を目指す相手が許さない。打点の高い強打を打ち込まれ2、3セットを連取され形勢逆転。「また3位で終わるかも…」。平山の脳裏には昨年夏の全国高校総体、秋の国体で3位に終わり、晴れ舞台を目前に涙を飲んだ苦い記憶が蘇った。大黒柱の心情を察知した合屋咲希(3年)は「一人で抱え込まなくていい。思いっ切り自分のプレーをすればいい」と声を掛け、ベンチにいた池島綸、古賀智代、原結実香、上永亜優の3年生も激励した。チーム一丸となった東龍は強い。相原昇監督が「3年生の思いが力になった。経験も実力も相手が上だったが勝ちたい思いが上回った」と振り返ったように、4セット目を執念で奪い返すと、最終セットは相手の強打を拾い続け、粘り強くつなぐ東龍のバレーボールで逆転した。

 

硬軟織り交ぜた攻撃でチームを引っ張った合屋咲希

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