3年生、冬物語 vol.1 不遇の時代を過ごした3年生が礎を築く(別府溝部学園高校)

2019/01/07
  • 冬の全国大会

 高校3年生にとって最後の公式戦となる冬の全国大会。県代表の誇りを胸に集大成として大一番に臨んだ選手を追った。

 

 試合後に大粒の涙がこぼれた—。創部4年目で初めて手にした全国大会は2回戦敗退。別府溝部学園高校バスケットボール部の全国デビュー戦が終わった。全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)の1回戦、序盤からリードを奪う理想的な展開となり、終盤に追いつかれたが高さとスピードを生かした攻撃で逃げ切り、全国初勝利を手にした。勢いに乗って挑んだ2回戦は古豪相手に互角の戦いを演じたが、勝負所でミスを連発して惜敗する。キャプテンの島袋琉太は「よくここ(全国大会)まで来られたという思いはあるが、今はもっとやれたんじゃないかという悔しい思いの方が強い」と声を震わせた。

 

 別府溝部学園がバスケットボール部の強化を始めたのが3年前。県内外から有望な選手に声を掛けたが、思うように人数がそろわなかった。指導スタッフも練習場所も定まらずハード、ソフト両面で強化と呼ぶにはお粗末だった1年目。原川中学校から全国大会出場を夢見て入学した鳥生竜之介は回想する。「コート1面も取れない体育館で週に数回程度しか練習ができない。人数も少なく、全国どころか県内で勝つことさえ難しいと思った」。沖縄から越境入学した島袋、真栄田・龍・デビンは「話が違う」と青ざめた。それでも「自分たちが溝部学園の歴史をつくる」とバスケットボールをやめようとは思わなかった。

 

 転機となったのが2年目。昨年12月のウインターカップで優勝した福岡第一高校出身の末宗直柔氏がコーチとして赴任してから状況が一変した。「コーチが来てから全てが変わった。選手も増えたし、しっかり練習ができるようになった」と鳥生。フットワークからハンドリングなど基礎練習を徹底し、個々の能力を高めることに重点を置き、「高さとスピードを生かした攻撃的バスケ」を目指した。ただ、この時は能力の高い選手の「寄せ集め」のチームという印象が強く、大きな成果を得ることはできなかった。

 

3年生の奮闘でウインターカップ1回戦を突破した

 

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