鶴崎工業高校 ノーシードから激戦区を勝ち抜き、旋風起こす
- 冬の全国大会
全国高校サッカー選手権大会特集(4) 鶴崎工業高校
今週末から始まる第97回全国高校サッカー選手権大会(選手権)大分県大会。1回戦から6試合を勝ち抜き、頂点を目指すのが鶴崎工業だ。高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2018 OFAリーグ(OFAリーグU-18)の1部に所属する実力校は、堅守速攻で今大会も旋風を巻き起こすかもしれない。
昨年も1回戦から勝ち上がり、決勝進出を果たした鶴崎工業。その時の主力で出ていた1、2年生が残り、経験が財産となった。「決勝までいったのがまぐれと言われないように、今年は優勝を目指して夏場の練習で追い込んだ」と今井玲音(2年)。春先はけが人が多く、ベストメンバーを組めない状況が続いたが、そこでチャンスを手にしたベンチメンバーや今井のように中盤から最終ラインにコンバートされ、プレーの幅が広がった選手もいる。松田雄一監督は「戦術の幅が広がり、選手層も厚くなった」と手応えを感じている。
9月に入ってからのOFAリーグU-18では、選手権予選に向けての布陣や戦術、けがから復帰した選手を試し、「課題はあるが十分修正できる。いばらの道だが一戦一戦を勝ち抜き、試合の中で自信をつけたい」と話す。松田監督が“いばらの道”と表現したのは、今大会の最激戦区に入った組み合わせにある。1回戦に勝利すれば、県高校総体(6月)1回戦で惜敗した大分鶴崎と対戦、3回戦は日本文理大学附属と中津東の勝者、準々決勝、準決勝はシード校と対戦する可能性が高く、1試合も気を抜けない。「1回戦からエンジン全開で戦う。やるしかない!」と今井の言葉に代表されるように選手も監督も一戦必勝の覚悟で臨む。
3バックの後ろにリベロを置く堅牢な守備に加え、狙い所を絞ったインターセプトからのカウンターは鋭利。ロングスローなど一芸に秀でた選手もいて、戦況に応じて柔軟にポジションが変更でき、逃げ切ることも、パワープレーで追いかけることもできる。「リーグ戦とは異なりトーナメントは一発勝負。1点の重みが違う」(松田監督)。勝負の酸いも甘いも知る指揮官の手腕も見どころとなりそうだ。
ボランチもセンターバックもできる今井玲音