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ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 駅伝女子 大分西、最後まで走り抜けた3年間

ラストバトル〜3年生、最後の戦い〜 駅伝女子 大分西、最後まで走り抜けた3年間

女子第37回県高校駅伝競走大会

11月6日 大分スポーツ公園内に周回コース

5区間、約21km

2位 大分西 1時間14分54秒

 

 惜しくも2位でテープを切った大分西のアンカー小松愛華(3年)は、ゴール後に「ありがとうございました」とトラックに向かって一礼した。女子第37回県駅伝競走大会で高校3年間の全てを出し切ると誓っていたが、大会当日は走れる状態ではなかった。長らく、シンスプリントとも呼ばれる「脛(けい)骨過労性骨膜炎」に苦しんだ。1カ月もの間、練習はおろかジョギングさえできなかったが、宮川剛監督から「途中で走れなくなってもいい。棄権してもいい。西高のアンカーはお前しかいない」と託され出走した。

 

 「大会までの1カ月は苦しかった」とは小松。毎朝起きて、足の痛みが消えない現実を受け止め、練習ができない日々を過ごす。「私の代わりに他の選手が走るべきだ」と何度も監督に訴えたが、「この3年間、誰よりもストイックに練習してきた姿をみんな見ている。アンカーはお前しかない」と監督の決意は揺らがなかった。

 

笑顔でゴールした小松愛華

 

 大会当日は痛み止めを飲んで中継所に立った時、不安な思いは吹っ切れなかったが、「仲間がつないだタスキをゴールに届ける」。小松はそれしか考えなかった。唯一の同級生の奥西つばさ(3年)からトップでタスキを受け取る。奥西の「楽しんで走ってきて」との言葉がうれしかった。満身創痍(そうい)の小松の走りにいつもの力強さはなかったが、気力と感謝の思いだけで5キロを走り抜く。ゴールで待っている仲間は温かかった。「1位でもらったタスキを2位に下げて悔しいけど、全ての力を出し切った。3年間頑張って良かった。支えてくれた方々に感謝しかない」と涙が止まらなかった。

 

 宮川監督は「3区まで下級生が流れをつくり、4区の奥西が意地を見せてくれた。一瞬でもトップに立つことができた。小松も最後まで自分の役割を果たしてくれた。よくやったとしか言いようがない。120%の出来だった」と選手をたたえた。奥西は「これまで結果を残せなかったが、最後の最後で力を出せた。頼りないキャプテンだったけど、みんなに支えられて最高の結果が出た」と笑みを浮かべ、小松は「今日ほどタスキの重みを感じたことはない。1、2年生は力のある選手が多いので、来年はトップでゴールテープを切ってほしい」と下級生にタスキを託した。

 

会心の走りを見せた奥西つばさ

 

 

(柚野真也)

大会結果